コラム

大統領選挙後のアメリカに「第3の建国」が迫る

2020年10月27日(火)16時30分

民主党が勝利した場合、まず取り組むべきなのは、このような不毛な対立とポピュリズムを生む国内の政治・経済メカニズムの大掃除だ。1776年の独立、1865年の南北戦争終結に次ぎ、今は多民族国家としてスタートする「第3の建国」の時である。まず、経済を活性化して格差を是正する。そして共和・民主の2党がオール・オア・ナッシングの不毛な争いを続けるのを緩和するため第3、第4の政党をつくる。

選挙戦に法外なカネがかかるのにも歯止めをかける。政治家・政党が資金を一部のスポンサーに依存するため政策がゆがみ、金持ち優先の社会になるのだ。そのためには、選挙戦の有料テレビ広告を禁止すればいい。

今のアメリカの「目詰まり」は、米・中・ロシア・インド・ブラジルなど領土・人口大国が幅を利かした時代がひとまず終わることを意味しているように思える。これらの国は大きな人口を養うのに四苦八苦し、広い領土の統治に大変なコストをかけてもいる。安全保障・通貨・貿易で、アメリカを核とするシステムに代わる体制を考えるべき時代なのかもしれない

<2020年11月3日号掲載>

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11月3日号(10月27日発売)は「ドイツ妄信の罠」特集。歴史問題、経済、外交......「日本はドイツを見習え」はどこまで正しいか。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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