コラム

BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている

2026年02月28日(土)21時00分

買いたたかれ、画一化が進む

しかし新型コロナ禍後のリアルな市場の縮小により、このモデルは次第に機能しなくなっている。韓国では地上波をはじめとするテレビの存在感はもはやなく、人々は映画やドラマを主としてネット上で消費している。こうした状況は結果として、ネットフリックスをはじめとする大型プラットフォームへのコンテンツ産業の依存を大きくさせる。映画やドラマもネットの形式に見合ったものとなり、プラットフォーム上での再生回数を競い合う。

しかし作品が大型プラットフォームの形式に適合し、全てが「月額890円」で見られるなら、人々はもはや劇場に足を運ばなくなる。苦境に陥ったコンテンツはプラットフォームに買いたたかれ、その単価を次第に下げていく。それこそが実情である。


韓国のポップカルチャー産業の苦境は、固有の現象というより世界で進む巨大な動きの一部にすぎない。アマゾンやネトフリ、ウーバーイーツが隆盛を極める一方で、書店や新聞販売店がなくなり、映画館やケーブルテレビ、街角の食堂も姿を消していく。プラットフォーム覇権の中、出版産業や映画産業のコンテンツは買いたたかれ、いつしか画一化が進む。だとすれば、韓国のポップカルチャー産業がここから脱出するのは極めて難しい、のかもしれない。

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プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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