コラム

BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている

2026年02月28日(土)21時00分

国外から国内への成功の還流で、投資を回収する

とはいえ、韓国ポップカルチャー産業の苦境は、ある意味で彼らが依拠してきたビジネス戦略の帰結でもある。これまでは、国外での普及に適した普遍的かつ分かりやすいメッセージの作品を制作し、これをYouTubeをはじめとするネット上の媒体で宣伝、普及させることで成功してきた。そこでは「インターネット映え」が重視され、貴重なコンテンツの一部を無料に近い形で提供するのも辞さなかった。

とはいえ、それだけでビジネスとして成り立つはずがない。だからこそ、音楽産業ではダウンロード数の低下を補うために、韓国国内には存在しない日本の大型ドームでのコンサートやイベントを頻繁に開催し、収益を上げるモデルをつくってきた。リアルな市場の重要性は映画やドラマにおいても同様であり、ここで重要だったのが韓国国内市場だった。『パラサイト 半地下の家族』やBTSが典型的だが、国外における成功はそれにより国内でのさらなるブームを巻き起こし、その結果投資を回収できた。韓流現象の一部を支えてきたのは、豊かになった韓国社会だったのである。


プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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