コラム

肥満予防のため飲んではダメ!...口うるさい政府の「子守国家」イギリス

2026年02月28日(土)20時21分

時には、破滅的で押しつけがましくて自滅的ですらあるように見える施策が、結局は良いアイデアだったと判明して、拡大され、模倣されていく、という場合もある。その例が、ロンドンでの排ガス車両規制だ。

この規制は、ロンドン中心部に乗り入れるトラックやバンに対する「渋滞税」として2003年に始まった。これは2つの「明らかな」弱点のせいで批判を浴びた。


1つは、既に規制区域内にある車両は免除されたこと。だから「チェルシー・トラクター(高級地区のチェルシーで細い道を走る富裕層の超大型車)」は規制を受けなかった。つまり、ランドローバーのディーゼル車で子供を学校に送り迎えするような金持ちは、通行税を払わなくてよかったのだ。

もう1つの問題は、通行税によってロンドンに車両が流入するのが妨げられること。つまり、規制が成功すればするほど、得られる通行税は少なくなる。

ところが、今ではあの規制が悪いアイデアだったと思う人は誰もいない。対象区域は拡大され、規制は強化されている。今となってはより多くの人が、この規制がなかったら大気汚染はどんなにひどくなっていたことだろうと考えるようになった。

だから将来、もっとスリムになったイギリス人たちが、ホットチョコレートやモカをドリンクバーで注いでいた過去に驚く日が来るかもしれない。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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