コラム

安倍前首相が絶賛した「朝日批判本」の残念な構成

2021年08月25日(水)06時30分

「転向者」を優しく受け入れるコミュニティー

関係者の実名を明かしたインタビューを基にした前半と、都合の良い論をつまんだ後半では明らかに落差があるが、著者も読者もそれでいいのだろう。リベラルな主張をする右派をリベラル派が喜んで取り上げ、元朝日記者の朝日批判は保守派から大いに喜ばれる。「転向」したものを優しく受け入れるコミュニティーの構造に長谷川もうまくはまり込んだのだから。

願わくは、前半をもっと丁寧に磨き上げるような、論に流されることなく事実を積み上げる朝日本を読んでみたかったのだが。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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