アングル:ハメネイ師後継、現実派ラリジャニ氏が有力か 臨時指導部設置
イランのベテラン政治家アリ・ラリジャニ氏は1日、最高指導者ハメネイ師が米国とイスラエルの空爆で殺害されたことを受け、臨時指導部を設置すると表明した。ベイルートで昨年8月撮影(2026年 ロイター/Aziz Taher)
Ahmed Elimam
[1日 ロイター] - イランのベテラン政治家アリ・ラリジャニ氏は1日、最高指導者ハメネイ師が米国とイスラエルの空爆で殺害されたことを受け、臨時指導部を設置すると表明した。同氏は2025年、安全保障分野で最も影響力ある人物の一人として指導部に復帰していた。
ラリジャニ氏は核交渉から周辺国との関係、国内の暴動鎮圧まで、幅広い分野を統括してきた。
イラン有数の聖職者一族の出身であるラリジャニ氏は今年1月、多数の死者が出た反政府デモの弾圧を指揮したとして米国から制裁を受けた。一方、米国との核合意に向けた交渉の監督役でもあった。
国営テレビは1日、ラリジャニ氏が今回の攻撃後、イランの略奪と解体を米国とイスラエルが企てていると非難し、厳しい対応を警告したと報じた。
<ハメネイ師の信任厚い戦略家>
最高安全保障委員会(SNSC)の事務局長に昨年8月に任命されたラリジャニ氏は、ハメネイ師への忠誠心で知られるほか、対立が多い各派閥との実務的な関係を築くことで要職を歴任してきた。
ハメネイ師が信頼する戦略家としての地位は、核協議の仲介国オマーンへの先月の訪問で改めて示された。また、ここ数カ月で主要な同盟国ロシアを複数回訪問し、幅広い安全保障関係を協議しており、ハイレベル外交への復帰を印象付けた。
<核問題は「解決可能」>
約20年前にもSNSCの事務局長を務めたラリジャニ氏は昨年、イスラエルとの12日間戦争後、委員会トップに復帰し、イランの安全保障体制の中枢に正式に返り咲いた。
同氏の核問題に関する公での発言は現実的なトーンを帯びることもある。先月には、米国との協議について「私の見解では、この問題は解決可能だ」とオマーン国営テレビに述べた。「米国の懸念がイランの核兵器取得阻止にあるなら、それは対処できる」と語っていた。
しかし、1月の反政府デモの激化を受け、SNSCでの同氏の役割は米国から非難された。米政府の発表によると、ラリジャニ氏は一連のデモ鎮圧で最前線にいたという。
人権団体によると、デモ弾圧で数千人が死亡。1979年のイスラム革命以降、イラン国内で最悪の騒乱となった。
<プーチン大統領との関係>
ラリジャニ氏はモスクワを繰り返し訪問してプーチン大統領と会談し、トランプ氏からの圧力に対する重しとなる同盟国ロシアとの関係管理を担ってきた。また、中国との交渉を推進する任務も担ってきた。
05年には大統領選に出馬したが落選。その後、21年と24年の大統領選への立候補を目指したが、いずれも護憲評議会により出馬を認められなかった。評議会は生活水準や海外の家族関係などを理由に挙げた。
58年にイラクのナジャフで生まれた。幼少期にイランへ移住し、哲学博士号を取得。兄弟数名も司法府や外務省など体制の要職に就いている。
ラリジャニ氏の娘の一人は今年1月、デモ弾圧における同氏の役割に怒ったイラン系米国人活動家の抗議を受け、米エモリー大学の医学教員の職を解かれた。
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