米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に最高指導者も標的
2月28日、イランのテヘランで爆発があった後に上る黒煙。WANA (West Asia News Agency)/Handout via REUTERS
[ワシントン/テルアビブ/ドバイ 28日 ロイター] - 米国とイスラエルは28日、イランに対する大規模な攻撃を実施した。中東は新たな軍事対立に突入し、イランの核開発を巡る外交的な解決への期待は一段と低下した。
トランプ米大統領は、この攻撃により米国に対する安全保障上の脅威は終焉を迎え、イラン国民には支配者を打倒する機会が与えられるだろうと述べた。
イスラエルは、イランがイスラエルに向けてミサイルを発射して応戦したと発表。域内での紛争拡大への懸念が高まり、近隣の産油国である湾岸アラブ諸国は緊張状態に陥った。
関係筋によると、米国防総省が「猛烈な怒り作戦(OPERATION EPIC FURY)」と名付けた攻撃の第1波は、主にイラン当局者を標的にした。
イスラエル当局者は、最高指導者のハメネイ師とペゼシュキアン大統領も標的となったが、攻撃の成否は不明だと述べた。関係者は先に、ハメネイ師はテヘランにはおらず、安全な場所に移動したとしていた。
イランの体制に近い関係筋は、ナシルザデ国防相と革命防衛隊のモハメド・パクプール司令官が死亡したと述べた。米NBCによると、イランのアラグチ外相も複数の司令官が死亡したことを認めた。
<湾岸地域の米施設に報復攻撃>
イラン革命防衛隊は、イスラエルに対する報復として、ミサイル・ドローン攻撃の第1波を発動したと表明。「敵が決定的に敗北するまで」報復を続けると表明した。イラン当局者はロイターに対して、域内の米軍基地・施設は全てイランの攻撃圏内にあると述べた。
またアラグチ外相は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、バーレーン、イラクの外相に対し、自衛のためにあらゆる防衛・軍事能力を行使すると通知した。
一方、バーレーンは米第5艦隊の関連施設がミサイル攻撃を受けたと発表した。目撃者が提供した映像には、サイレンが鳴り響く中、沿岸付近から濃い灰色の煙が立ち上る様子が映っている。
主要産油国であり米国の緊密な同盟国であるUAEの首都アブダビでは、ロイター記者を含む少なくとも6人の目撃者が、市内の複数地点で大きな爆発音を聞いたと証言した。
ある目撃者はロイターに対し、5回の爆発音が立て続けに聞こえ、アブダビのコーニッシュ付近の家の窓が振動したと語った。アル・ダフラ地区やバティーン地区の他の目撃者も大きな爆発音を聞いたという。
カタールは、同国を狙ったミサイルを全て撃墜したと、国営通信が報じた。
航空各社は中東全域で、運航便を相次いで欠航した。
<トランプ氏、体制転換呼びかけ>
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)に投稿し、イランで「大規模な戦闘作戦」を開始したと表明した。「われわれの目的は、イラン政権による差し迫った脅威を排除し米国民を守ることだ」と説明した。
トランプ氏は、イランが核開発計画の再構築を試みたと指摘。米国などを脅かす長距離ミサイルを開発していると主張し、イランの核保有を防ぐこと、イランのミサイルと関連産業を完全に破壊することを訴えた。
これに先立ち、イスラエルのカッツ国防相は「イスラエル国家に対する脅威を除去するため、イランに対して予防的な攻撃を実行した」と発表。ネタニヤフ首相は声明で「勇敢なイラン国民が自らの運命を自らの手で切り開くための条件を整えることになるだろう」とした。
ソーシャルメディアで公開された動画メッセージで、トランプ氏は米とイランの数十年にわたる対立に言及。学生らが52人の米国人を444日間人質にした1979年の在テヘラン米大使館占拠事件や、1979年のイスラム革命で聖職者が権力を掌握して以降、米国がイランの仕業と非難してきた一連の攻撃を挙げた。
トランプ氏はイラン国民に対し「爆弾が至る所に落下する」ため避難を続けるよう促した。同時に「われわれの作戦が終了したら、政府を掌握せよ。それは君たちのものだ。おそらく何世代にもわたる唯一の機会となるだろう」と続けた。
<空と海から攻撃>
米政府関係者によると、攻撃は空と海から実施されており、現時点で規模は分かっていない。作戦は数日間に及ぶ見込みだという。CNNは米当局者の話として、米国の攻撃は軍事目標が対象と伝えた。
ただイランのタスニム通信は、南部の女子学校がイスラエルの空爆を受け、約40人が死亡したと伝えた。ロイターは報道を独自に確認できていない。
こうした中、イラクの親イラン武装組織カタイブ・ヒズボラは、地域内の米軍基地を近く攻撃すると表明した。
また、サウジアラビアのムハンマド皇太子とUAEのムハンマド大統領が電話会談し、湾岸諸国へのイランの報復攻撃について議論したとUAEの国営通信社が報じた。
<数カ月前から計画>
イスラエルと米国は昨年6月にもイランの核施設などを攻撃したが、今回は断食月(ラマダン)の期間中の攻撃となった。週明けには古代ペルシャでユダヤ人が危機から救済されたことを祝う「プリム」も控えている。
イスラエルの軍事当局者によると、作戦は米国と連携して数カ月前から計画。実行日は数週間前に決定されていたという。
米国は核開発計画を巡ってイランと協議を続けてきた。これに対しイスラエルは、単にウランの濃縮を停止するだけでなく、核開発基盤の解体が含まれるべきだと主張。イランのミサイル開発も制限するよう米国に働きかけていた。
イランは、制裁解除と引き換えに核計画への制限について協議する用意があるとしつつ、ミサイル問題と結び付けることは排除していた。
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