ニュース速報
ワールド

米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に最高指導者も標的

2026年03月01日(日)00時04分

2月28日、イランのテヘランで爆発があった後に上る黒煙。WANA (West Asia News Agency)/Handout via REUTERS

[ワシ‌ントン/テルアビブ/ドバイ 28日 ロイター] - 米国とイスラエルは28日、イランに対する大規‌模な攻撃を実施した。中東は新たな軍事対立に突入し、イランの核開発を巡る外交的な解決へ​の期待は一段と低下した。

トランプ米大統領は、この攻撃により米国に対する安全保障上の脅威は終焉を迎え、イラン国民には支配者を打倒する機会が与えられるだろうと述べた。

イスラエルは、⁠イランがイスラエルに向けてミサイルを発射して応戦​したと発表。域内での紛争拡大への懸念が高まり、近隣の産油国である湾岸アラブ諸国は緊張状態に陥った。

関係筋によると、米国防総省が「猛烈な怒り作戦(OPERATION EPIC FURY)」と名付けた攻撃の第1波は、主にイラン当局者を標的にした。

イスラエル当局者は、最高指導者のハメネイ師とペゼシュキアン大統領も標的となったが、攻撃の成否は不明だと述べた。関係者は先に、ハメネイ師はテヘランにはおらず、安全な場所に移動したとしていた。

イランの体制に近い関係筋は、ナシルザデ国防相と革命防衛隊のモハメド⁠・パクプール司令官が死亡したと述べた。米NBCによると、イランのアラグチ外相も複数の司令官が死亡したことを認めた。

<湾岸地域の米施設に報復攻撃>

イラン革命防衛隊は、イスラエルに対する報復として、ミサイル・ドローン攻撃の第1波を発動したと表明。「敵が決定的に敗北する⁠まで」報復を​続けると表明した。イラン当局者はロイターに対して、域内の米軍基地・施設は全てイランの攻撃圏内にあると述べた。

またアラグチ外相は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、バーレーン、イラクの外相に対し、自衛のためにあらゆる防衛・軍事能力を行使すると通知した。

一方、バーレーンは米第5艦隊の関連施設がミサイル攻撃を受けたと発表した。目撃者が提供した映像には、サイレンが鳴り響く中、沿岸付近から濃い灰色の煙が立ち上る様子が映っている。

主要産油国であり米国の緊密な同盟国であるUAEの首都アブダビでは、ロイター記者を含む少なくとも6人の目撃者が、市内の複数地点で大きな爆発音を聞いたと証言した。

ある目撃者はロイターに対し、5回の爆発音が立⁠て続けに聞こえ、アブダビのコーニッシュ付近の家の窓が振動したと語った。アル・ダフラ地区やバティーン地区の‌他の目撃者も大きな爆発音を聞いたという。

カタールは、同国を狙ったミサイルを全て撃墜したと、国営通信が報じた。

航空各社は中東全域で、運航便を相次いで欠⁠航した。

<トラン⁠プ氏、体制転換呼びかけ> 

トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)に投稿し、イランで「大規模な戦闘作戦」を開始したと表明した。「われわれの目的は、イラン政権による差し迫った脅威を排除し米国民を守ることだ」と説明した。

トランプ氏は、イランが核開発計画の再構築を試みたと指摘。米国などを脅かす長距離ミサイルを開発していると主張し、イランの核保有を防ぐこと、イランのミサイルと関連産業を完全に破壊することを訴えた。

これに先立ち、イスラエルのカッツ国防相は「イスラエル国家に対する脅威を除去するため、イ‌ランに対して予防的な攻撃を実行した」と発表。ネタニヤフ首相は声明で「勇敢なイラン国民が自らの運命を自らの手で切り開くため​の条件を整え‌ることになるだろう」とした。

ソーシャルメディアで公開⁠された動画メッセージで、トランプ氏は米とイランの数十年にわた​る対立に言及。学生らが52人の米国人を444日間人質にした1979年の在テヘラン米大使館占拠事件や、1979年のイスラム革命で聖職者が権力を掌握して以降、米国がイランの仕業と非難してきた一連の攻撃を挙げた。

トランプ氏はイラン国民に対し「爆弾が至る所に落下する」ため避難を続けるよう促した。同時に「われわれの作戦が終了したら、政府を掌握せよ。それは君たちのものだ。おそらく何世代にもわたる唯一の機会となるだろう」と続けた。

<空と海から攻撃>

米政府関係者によると、攻撃は空と海から実施されており、現時点で規模は分かっていない。作戦は数日間に及ぶ見込みだ‌という。CNNは米当局者の話として、米国の攻撃は軍事目標が対象と伝えた。

ただイランのタスニム通信は、南部の女子学校がイスラエルの空爆を受け、約40人が死亡したと伝えた。ロイターは報道を独自に確認できていない。

こうした中、イラクの親イラン武装組織カタイブ・ヒズボ​ラは、地域内の米軍基地を近く攻撃すると表明した。

また、サウジアラビアのムハン⁠マド皇太子とUAEのムハンマド大統領が電話会談し、湾岸諸国へのイランの報復攻撃について議論したとUAEの国営通信社が報じた。

<数カ月前から計画> 

イスラエルと米国は昨年6月にもイランの核施設などを攻撃したが、今回は断食月(ラマダン)の期間中の攻撃となった。週明けには古代ペルシャでユダヤ人が危機から救済されたことを祝う「プリム」​も控えている。

イスラエルの軍事当局者によると、作戦は米国と連携して数カ月前から計画。実行日は数週間前に決定されていたという。

米国は核開発計画を巡ってイランと協議を続けてきた。これに対しイスラエルは、単にウランの濃縮を停止するだけでなく、核開発基盤の解体が含まれるべきだと主張。イランのミサイル開発も制限するよう米国に働きかけていた。

イランは、制裁解除と引き換えに核計画への制限について協議する用意があるとしつつ、ミサイル問題と結び付けることは排除していた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

茂木外相、「核兵器開発は決して許されない」 米攻撃

ワールド

米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に

ワールド

中国、イラン攻撃の即時停止要請 米・イスラエルに懸

ワールド

再送-米軍トップと国防長官、トランプ氏私邸からイラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 3
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキングが発表に...気になる1位は?
  • 4
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 7
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 8
    トランプがイランを攻撃する日
  • 9
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 10
    インフレ直撃で貯蓄が消える...アメリカ人の54%が「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中