フィンランド、海底ケーブル損傷の疑いで貨物船拿捕 乗組員14人拘束
フィンランド警察は31日、ヘルシンキとエストニアの首都タリンの間に敷設されている海底通信ケーブルの損傷に関与した疑いがある船舶を拿捕したと発表した。周辺のバルト海を含むこの海域では、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降、破壊工作が疑われる事案が相次いでいる。(2025年 ロイター/Kimmo Penttinen/Lehtikuva)
Essi Lehto Terje Solsvik Suzanne Goldenberg Anne Kauranen Stine Jacobsen
[ヘルシンキ 31日 ロイター] - フィンランド警察は31日、ヘルシンキとエストニアの首都タリンの間に敷設されている海底通信ケーブルの損傷に関与した疑いがある船舶を拿捕したと発表した。周辺のバルト海を含むこの海域では、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降、破壊工作が疑われる事案が相次いでいる。
フィンランド警察によると、拿捕したのはセントビンセント・グレナディーン船籍の貨物船「フィットブルク」。ロシア北西部サンクトペテルブルクを出航し、イスラエルのハイファに向かっていた。同船の航行情報は、海上交通情報サイト「マリントラフィック」のデータで確認された。
警察はフィットブルクの乗組員14人を拘束。拘束された乗組員の国籍はロシア、ジョージア、カザフスタン、アゼルバイジャンとしている。
損傷した海底ケーブルはフィンランド湾を横断する形で敷設されており、フィンランドの通信大手エリサが所有。フィンランド国境警備隊によると、国境警備隊のヘリコプターがフィンランドの排他的経済水域(EEZ)内でフィットブルクに接近した際、航行中だったにもかかわらず錨を下すためのチェーンが海中に垂れ下がっているのが確認された。警察もフィットブルクは錨を引きずったまま航行していたとしており、通信の重大な妨害、重大な破壊行為、重大な破壊行為未遂の疑いで捜査を進めている。
フィンランドのストゥブ大統領は「あらゆる種類の安全保障上の課題に備えており、必要に応じて対応する」とXに投稿した。
バルト海にはロシアのほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が8カ国が面しており、周辺海域では近年、比較的浅い海底に敷設されている送電ケーブルや通信回線、ガスパイプラインなどの損傷が相次いて発生。周辺国は警戒態勢を維持している。NATO当局者は今回の事件を受け「フィンランド当局と連携しているほか、英国ノースウッドにある連合海上軍司令部内を通して情報交換を続けている」と述べた。





