米最高裁、出生地主義を見直す大統領令の合憲性審理へ
写真は米最高裁の外観。2024年7月19日、ワシントンで撮影。REUTERS/Kevin Mohatt
Andrew Chung
[5日 ロイター] - 米最高裁判所は5日、米国で生まれた全ての子供に市民権を与える「出生地主義」を見直すトランプ大統領の大統領令が合憲かどうかを審理することを決定した。最高裁は来年6月末までに判決を下す見通しだ。口頭弁論が設定される予定だが、今のところ具体的な日程は設定されていない。
トランプ氏は2期目の初日となった今年1月20日、移民の受け入れを抑えるための出生地主義見直しの大統領令に署名した。自身らの市民権が脅かされているとする原告側が集団訴訟を起こし、下級裁判所は憲法修正14条および出生による市民権を規定する連邦法に違反すると判断して大統領令を差し止める命令を出していた。
憲法修正14条は、米国で生まれた子どもに市民権を保証するものと解釈されてきた。しかしトランプ政権は、14条には不法滞在の移民や、留学生や就労ビザ保持者など合法だが一時的な滞在資格だけを持つ移民の出生児には市民権を付与しないと主張している。
これに対し、人種的および宗教的に差別していると非難する声が出ている。
ホワイトハウスのアビゲイル・ジャクソン報道官は「本件は全米国民の安全保障と米国の市民権の神聖性に重大な影響を及ぼす。トランプ政権は米国民を代表し、出生による市民権を巡る問題について主張を展開することを楽しみにしている」との声明を出した。
原告側の代理人を務める米自由人権協会(ACLU)のセシリア・ワン全国法務ディレクターは「大統領が14条修正条項の市民権に関する基本原則を変更することはできない」と強調し、「最高裁でこの問題を完全に決着させることを期待している」とコメントした。





