アングル:トランプ氏と有力議員対立、MAGA派に亀裂で共和党混乱
写真はマージョリー・テイラー・グリーン下院議員。11月18日、ワシントンで撮影。REUTERS/Annabelle Gordon
Nathan Layne Jayla Whitfield-Anderson
[ラファイエット(米ジョージア州) 20日 ロイター] - 米南部ジョージア州ラファイエットで18日夜に開かれた与党共和党員の集会で、この地区の党委員長を務めるジャッキー・ハーリング氏は、ほぼ満席となった会場にしっかりと落ち着いた声で「ちょっとした問題が起きているようだ」と語りかけた。
ハーリング氏が話題にしたのは出席者の誰もが思っていた内容、つまりトランプ米大統領とマージョリー・テイラー・グリーン下院議員の確執だ。ハーリング氏は「われわれはどちらにも味方をするべきでない」と述べ、団結を呼びかけた。
最近まで熱心なトランプ氏支持者だったグリーン氏とトランプ氏の対立にハーリング氏が触れる必要を感じたという事実から、この問題が共和党にどれほどの混乱をもたらしているかが浮き彫りになった。両者の対立により、1年後の中間選挙を控えて強力にトランプ支持する「MAGA(米国を再び偉大に)」派が分裂するのではないかとの懸念が生まれている。
出席者から相次いで心配の声が上がったトランプ氏とグリーン氏の溝は、週末にかけてグリーン氏が「エプスタイン文書」を巡るトランプ氏の対応を改めて批判したことで一段と深まった。
トランプ氏は19日、かつて交友関係にあったとされ、少女らの性的人身売買で起訴された後に自殺した富豪エプスタイン氏に関する資料の全面公開を義務づけた法案に署名し、司法省が30日以内に開示することが決まった。ただトランプ氏は当初、公開に反対する姿勢を示していた。
グリーン氏はMAGA派の有力な論客の1人であると同時に、エプスタイン文書問題だけでなく、外交や医療費、政府閉鎖などでも身内の共和党やトランプ氏に対して容赦のない批判を展開。これに対してトランプ氏はグリーン氏を「裏切り者」と呼び、支持を撤回した。
MAGA派の大半は引き続きトランプ氏と足並みをそろえている。とはいえトランプ氏とグリーン氏の対立は、MAGA派の内部が緊張をはらみつつあることを如実に物語る。
実際、派内の一部からは、トランプ氏がエプスタイン文書の全面公開に消極的だったことや、政権のイスラエルに対する揺るぎない支持に不満が出ている。
ロイターが今週、グリーン氏の選挙区にあるローム、ケーブスプリング、ラファイエットといった都市で共和党を支持する21人の有権者に取材したところでは、全員がエプスタイン文書の全面公開が望ましいと回答した。一方でほとんどの人は、トランプ氏とグリーン氏の両者を支持し続けると述べ、トランプ氏のグリーン氏に対する痛烈な批判は自分たちの投票行動に無関係だと主張した。
<党員の不安>
18日の集会で、一人の中年女性が発言した。共和党は本来、米国民の間で懸念が高まっている「アフォーダビリティー(生活費や住宅費の負担感)」の問題に集中すべき局面にある、と指摘。しかし現状では、トランプ氏とグリーン氏の対立が目立ち、余計なエネルギーが割かれかねないと懸念を示し、アフォーダビリティー問題に専念できない状況が続けば、党にとって由々しき事態になりかねないと警鐘を鳴らした。
グリーン氏の選挙区の党委員長を務めるジム・タリー氏は約20分にわたり、グリーン氏を支持する必要性を熱心に説きつつ「強い欲望と強い声を持つ2人の有力者(トランプ氏とグリーン氏)が衝突している。彼女が常にわれわれのためにどれほど懸命に働いているかを知っているだけに(今の)彼女を見るのはつらい」と述べた。
グリーン氏は、2021年に主にブルーカラー層が暮らすジョージア州の地域から連邦議会に選出され、歯に衣着せぬ発言ぶりで一躍有名になった。18日、連邦議会議事堂前で複数のエプスタイン事件の被害者に囲まれたグリーン氏は、大統領によるエプスタイン問題への対応について、「MAGAにとって最も破壊的な対応のひとつだった」と述べ、この一連の経緯が「MAGAを引き裂いた」と語った。
もっとも、ケネソー州立大学のカーウィン・スウィント教授(政治学)は、今回の件を、トランプ氏が共和党の支配力を失いつつある兆しと見なすべきではないとくぎを刺した。来年の中間選挙、28年の次期大統領選挙のいずれもMAGA派は共和党のトランプ氏支持派と行動をともにするだろうという。
<刺客と対決か>
グリーン氏の盟友としてケーブスプリングで活動する共和党員のデニス・ショーフ氏は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃に対するトランプ政権の姿勢をグリーン氏が批判している点から、キリスト教保守派共和党員は次の選挙でグリーン氏に投票しないかもしれないと話した。
ただショーフ氏は、トランプ氏が示唆している通りグリーン氏の選挙区に「刺客」を擁立したとしても、24年の選挙で64%の得票を得たグリーン氏は再び勝利すると見込む。参考となる例として挙げたのは、22年のジョージア州知事選で共和党のブライアン・ケンプ氏がトランプ氏支持の対立候補を破ったケースだ。
ロイターが取材した多くの共和党員、さらには一部の民主党員は、グリーン氏が独自の立場を打ち出していることに肯定的だった。グリーン氏が16日のCNNのインタビューで「有害な政治」に自身が関与したと謝罪したことも高く評価されている。
ウォーカー郡共和党指導部に属するクーパー・ジャック氏は自らを強固なトランプ氏支持者と位置づけながら、エプスタイン文書の全面公開を求めてきた取り組みこそがグリーン氏を応援する気持ちを決定付けたと明かす。
エプスタイン文書が実際にどこまで開示されるかはなお不透明で、この問題とそれを巡る共和党内の争いは来年にかけて同党を悩ませる恐れがある。
17日公表のロイター/イプソス世論調査では、共和党員のうちトランプ氏が問題にうまく対応しているとの考えを示した割合は44%にとどまった。また国民の70%は、政府がエプスタイン氏の性犯罪に関与した人物の情報を隠していると信じている。
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