ニュース速報
ワールド

ニューヨーク市、子どもの中毒化でSNS企業を提訴

2025年10月09日(木)08時06分

10月8日、 ニューヨーク市はフェイスブックとインスタグラムの親会社である米IT大手メタ・プラットフォームズ、グーグル、ユーチューブの親会社の米IT大手アルファベット、スナップチャットの米スナップ、TikTok(ティックトック)の中国系親会社の字節跳動(バイトダンス)に対して、子どもたちを交流サイト(SNS)中毒に陥れて精神的な健康危機を助長したとして、損害賠償を求める訴えをニューヨークの連邦地裁に起こした。写真はメタとティックトックのロゴ。2022年2月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Jonathan Stempel

[ニューヨーク 8日 ロイター] - ニューヨーク市は8日、フェイスブックとインスタグラムの親会社である米IT大手メタ・プラットフォームズ、グーグル、ユーチューブの親会社の米IT大手アルファベット、スナップチャットの米スナップ、TikTok(ティックトック)の中国系親会社の字節跳動(バイトダンス)に対して、子どもたちを交流サイト(SNS)中毒に陥れて精神的な健康危機を助長したとして、損害賠償を求める訴えをニューヨークの連邦地裁に起こした。

こうした被告企業が「若者の心理と神経生理を巧みに利用するように」プラットフォームを設計し、利益追求を目的として強迫的に使用させていたと主張した。

ニューヨーク市によると、市内の高校生のうち77.3%、うち女子生徒の82.1%がテレビ・パソコン・スマホなどを含む「スクリーンタイム」に1日3時間以上を費やしていると回答しており、睡眠不足や慢性的な不登校の一因になっているという。

ニューヨーク市の公衆衛生局長は2024年1月、SNSを公衆衛生上の危険だと宣言し、市内の学校も含めて若年層の精神的な健康危機に対応するため税金をそれまで以上に多く投じざるを得なくなったとしている。

ニューヨーク市はさらに地下鉄の車両の上や横に乗る「サブウェイ・サーフィン」の増加を巡ってもSNSが関与していると非難した。警察のデータによると、少なくとも16人が23年以降、こうした行為のために死亡し、その中には今月亡くなった12歳と13歳の少女2人も含まれている。

ニューヨーク市は「被告企業は自らの行為がもたらした被害に対して責任を負うべきだ」とし「原告側が現状では迷惑行為の排除とその費用負担を背負わされている」と述べた。

ニューヨーク市は今回の訴訟で、カリフォルニア州の連邦地裁で審理中の全国的な訴訟に合流した。全米で政府機関、学区、個人などによって約2050件の類似訴訟が進められている。ニューヨーク市は人口848万人で、うち18歳未満が約180万人となる最大規模の原告の1つ。市の学校や医療機関も原告に加わっている。

グーグルの広報担当ホセ・カスタネダ氏はユーチューブが友人と交流するためのSNSでなくストリーミングサービスであるため、訴状の主張は「まったく事実ではない」と述べた。

他の被告企業はコメント要請にすぐに応じなかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ和平計画、停戦と人質解放で合意 トランプ氏「素

ビジネス

新興国市場へのポートフォリオ流入額、5月以来の低水

ワールド

英ユダヤ教会堂襲撃事件、射殺された容疑者は「イスラ

ワールド

原油先物下落、ガザ停戦合意でリスクプレミアム縮小
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ「過激派」から「精鋭」へと変わったのか?
  • 3
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示す新たなグレーゾーン戦略
  • 4
    ヒゲワシの巣で「貴重なお宝」を次々発見...700年前…
  • 5
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 6
    インフレで4割が「貯蓄ゼロ」、ゴールドマン・サック…
  • 7
    【クイズ】イタリアではない?...世界で最も「ニンニ…
  • 8
    「それって、死体?...」新婚旅行中の男性のビデオに…
  • 9
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中