ネパール暫定首相、汚職対策に決意 若者の抗議活動経て就任

ネパールの暫定首相に就いたスシラ・カルキ氏（写真）は１９日、若者らの抗議活動を受けて前首相が辞任したことを踏まえ、汚職対策を含む行政の透明性改善や、雇用創出や生活水準の向上に取り組むことを明らかにした。写真はカトマンズで同日撮影（２０２５年　ロイター/Stringer）

［カトマンズ　１９日　ロイター］ - ネパールの暫定首相に就いたスシラ・カルキ氏は１９日、若者らの抗議活動を受けて前首相が辞任したことを踏まえ、汚職対策を含む行政の透明性改善や、雇用創出や生活水準の向上に取り組むことを明らかにした。ネパールの憲法記念日に当たる１９日に、就任後初めて自身の考えを公表した。

カルキ氏は、汚職拡大や失政が抗議活動の引き金となったとし「憲法に明記された良き統治と繁栄の実現という精神と目的を果たせなかった事実を受け入れなければならない」と述べた。

抗議活動は、８、９両日に激化した。混乱で少なくとも７２人が死亡したほか、２１００人以上が負傷。放火や破壊行為も発生し、首相官邸や最高裁判所、議会議事堂を含む民間・公共施設に大きな被害が生じた。政府関係者は、被害額が１０億─１５億ドルに達する可能性があるとの見方を示した。最高裁関係者によると、混乱による破壊行為を受け、一部の審理はテントで行われているという。

カルキ氏は元最高裁判所長官で、ネパール初の女性首相。抗議デモの代表者らと大統領、軍幹部による協議を経て先週任命された。２０２６年３月５日に総選挙が実施される。

格付け会社フィッチは１９日、混乱に伴いネパールの経済・財政見通しへのリスクが高まっており、信用力に悪影響を与える可能性があると指摘した。