アングル:日米為替声明、「高市トレード」で思惑 円安けん制意図か

日米両政府が合意した為替に関する共同声明をめぐり、外為市場で思惑が広がっている。写真は日米の紙幣と国旗のイメージ。2017年6月撮影(2025年 ロイター/Thomas White)
Shinji Kitamura
[東京 18日 ロイター] - 日米両政府が合意した為替に関する共同声明をめぐり、外為市場で思惑が広がっている。内容は従来の合意事項ばかりで目新しさはなかったが、円安進行が見込まれる自民総裁選を控えたタイミングで発表されたことで、両国の当局に一段のドル高/円安をけん制する意図があったのではないか、と深読みする声が出ている。
<旧聞の内容が思惑の火種>
「為替レートを価格競争力強化のための目標とはしない」、「介入は過度または無秩序な変動への対応時のみ」──。外為市場関係者に馴染みのある表現が並んだ日米財務相の共同声明が発表されたのは今月12日の朝だった。G7財務相・中央銀行総裁会議などの声明で繰り返されてきた旧聞の内容に、円相場は目立った反応を見せなかった。
実際、A4紙1枚にも満たない700字強の記載内容のうち、初出だったのは「外貨準備の通貨構成を年次で明らかにすること」ぐらいだった。これまでG7声明になかった「年金基金等その他の政府の投資主体」が対外投資で為替レートの押し下げを狙ってはならないとの文言が盛り込まれたが、それは米財務省が6月にまとめた為替報告書で取り上げたのと同じ内容だった。
市場でこの内容は、唐突で脈絡もわかりづらいと受け止められた。インパクトに乏しいと受け止められそうな声明をわざわざこのタイミングで出す狙いはどこにあったのか、といった市場参加者の疑問を喚起し、国内政局と関連付けた解釈を生んでている。
<ドル150円と日米財務大臣発言が布石>
三菱UFJ信託銀行資金為替部上級調査役の岡田佑介氏は「自民党総裁選で高市早苗前経済安保担当相が勝利すれば、拡張的な財政政策に対する思惑が高まり、円安が進む公算が高いことをけん制する狙いがあるのではないか」との見方を示す。
声明の狙いが円安けん制にある、との思惑が市場で強まる布石となったのは、8月中の日米財務大臣の発言にある。
ドルが4カ月ぶりに150円台を乗せた直後の8月1日、加藤勝信財務相は「為替市場の動向を憂慮している」と述べ、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映し、安定的に推移することが重要」だと発言した。
ドルはその後146円台まで一時下落したが、12日には148円台へ切り返した。多くの参加者がドル買い圧力の強さを感じていた矢先、今度はベセント米財務長官が、私見と断ったうえで「日銀は後手に回っており、利上げするだろう」と述べた。
赤沢亮正経済再生担当相が直後の15日、米財務長官の発言は「利上げを求めたのではない」と否定したが、米国の財務長官が他国の金融政策に直接言及するのは異例。結果的に、ドルが150円前後へ上昇した局面で、日米双方からドル高/円安をけん制するような発言が伝わった形になった。
「あれだけけん制的な発言が続けば、声明が(円安けん制を)連想させてもおかしくない」と日本総研副主任研究員の松田健太郎氏も指摘する。
<ニュース速報に「高市氏」で円売り>
高市氏は安倍晋三元首相の後継者として、海外参加者の間でも知名度が高いとされる。市場におけるその存在感は総裁選候補者の間でも際立っており「高市氏の言動に関するニュースが英語で流れると、投機筋の自動売買と見られる売りが円相場に出てくる」(大手銀のトレーダー)ほどだという。
その高市氏がもし選挙を勝ち抜けば、投機筋がさらに勢いづく可能性は高い。「ドルは150円乗せを試す展開になるだろう」と、みずほ銀行国際為替部為替スポットチームディレクターの南英明氏はみている。
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