イスラエル軍のガザ攻撃激化、40人死亡 避難命令も多数残留

パレスチナ自治区ガザの保健当局によると、12日のイスラエル軍の攻撃で、ガザ市を中心に少なくとも40人のパレスチナ人が死亡した。写真はイスラエル軍の空爆により被害を受けたガザ市の住宅。同日撮影(2025年 ロイター/Ebrahim Hajjaj)
[カイロ 12日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザの保健当局によると、12日のイスラエル軍の攻撃で、ガザ市を中心に少なくとも40人のパレスチナ人が死亡した。ガザ市から避難民が向かうガザ南部で、空爆により複数の死者が出たことも明らかにした。イスラエルはガザ市からの避難命令を出しているものの、安全な避難先がないため多くの住民がとどまっている。
イスラエルはイスラム組織ハマスを壊滅させる計画の一環として、ガザ市の完全掌握を表明し、攻撃を強化している。イスラエル軍は今週、ガザ市に対し500カ所以上を標的とした5波の空爆を実施し、偵察・狙撃拠点やトンネル出入口のある建物のほか、武器貯蔵庫などを破壊したと発表した。「引き続き集中的な攻撃のペースを強化する」とも表明している。
国連や多数の外国政府は、人道支援区域の状況やガザ市からの避難命令を非難し、停戦を求めている。
パレスチナ非政府組織(NGO)ネットワークの代表はロイターに対し、イスラエルが約1カ月前にガザ市掌握計画を発表して以来、避難した住民は約1割にとどまると推定。人口約100万人のガザ市では、多くの住民がそのまま残留している。
ガザ市の難民キャンプ近くに住む父親(60)はチャットアプリでロイターに「爆発は昨日から止むことがない」とした上で、「こうした爆撃によって『地域を離れるか、死ぬかだ』と人々に告げている」と語った。
イスラエル軍は、人道支援区域への物資流入を増やすため、「検問所147」と呼ぶガザ地区南部の区域の拡張を開始したと発表した。北部地域からの避難者を受け入れるための準備だと説明した。声明で「完成後の受け入れ能力は1日当たりでトラック150台と、現在の水準の3倍となる。食料を中心に支援物資の搬入量の増加が可能となる」と述べた。