ニュース速報
ワールド

アジアのクリーンエネルギー推進、化石燃料補助金が足かせに

2025年09月10日(水)15時51分

 アジア地域でクリーンエネルギーの導入を加速するには、各国政府による化石燃料への補助金廃止、安定した政策指針の提示、送電網への投資が不可欠だとの見解がシンガポールで開催されたアジア太平洋石油会議(APPEC)で示された。写真は2022年1月、インドネシア・北ジャカルタのカリヤ・チトラ・ヌサンタラ港で撮影(2025年 ロイター/Willy Kurniawan)

Sudarshan Varadhan

[シンガポール 10日 ロイター] - アジア地域でクリーンエネルギーの導入を加速するには、各国政府による化石燃料への補助金廃止、安定した政策指針の提示、送電網への投資が不可欠だとの見解がシンガポールで開催されたアジア太平洋石油会議(APPEC)で示された。

ポルトガルのEDPリニューアブルズのアジア担当最高財務責任者(CFO)、ローレンス・ウー氏は「石炭に引き続き補助金が支給され、エネルギーが依然として票集めの政治的道具として使われていることが、最大の障害だ」と指摘した。

インドネシアやインドなどの主要アジア諸国は、電力料金抑制のため、石炭の利用を引き続き奨励。国民1人当たりの排出量が少ないとして、化石燃料への依存を擁護している。

シンガポールのべナ・グループのニティン・アプテ最高経営責任者(CEO)は、データセンターの電力需要急増に対応するため、アジアで再生可能エネルギー事業を4倍に増やしているが、最大の制約は技術ではなく政策にあると主張。

同CEOは、台湾が今年、審査で洋上風力発電の認可を2件取り消したり、インドが過去2年で11.4ギガワット(GW)分の再生可能エネルギー入札を料金が高すぎることを理由に中止した例を挙げた。

両幹部は、許認可の遅延といった問題で資金調達コストが膨らんでいるとし、予測可能な長期の政策と工程表が必要だと主張。

ウー氏は、EDPリニューアブルズが日本とオーストラリアへの投資を強化しているとし、両国のリスクは「持続可能」であり、同社には「受け入れる用意がある」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ポーランド、ロシア無人機を撃墜 意図的侵入との見方

ビジネス

メタとTikTok、EUの法順守監督手数料巡る裁判

ビジネス

バークレイズ、S&P500の年末目標を上方修正 3

ビジネス

インタビュー:赤字の債券トレーディング再編、連携強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
  • 3
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒否した母親、医師の予想を超えた出産を語る
  • 4
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 5
    カップルに背後から突進...巨大動物「まさかの不意打…
  • 6
    富裕層のトランプ離れが加速──関税政策で支持率が最…
  • 7
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    ドイツAfD候補者6人が急死...州選挙直前の相次ぐ死に…
  • 10
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にす…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 5
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 6
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 9
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒…
  • 10
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中