スイス企業にフラン高と高関税の二重苦、EUへの事業移管も検討

8月26日、スイスの工業部門がスイスフラン高とトランプ関税の重圧に苦しんでいる。写真は、3Dプリンターで作成されたドナルド・トランプ米大統領のミニチュア模型、スイス国旗と「関税」の文字。7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
[ベルン 26日 ロイター] - スイスの工業部門がスイスフラン高とトランプ関税の重圧に苦しんでいる。機械および電気工学系企業の31%が一部事業を欧州連合(EU)へ移管することを計画していることが業界団体スイスメムの調査で明らかになった。
スイスの関税率は39%と米相互関税で最も高い部類でEU(15%)の2倍以上。また、安全資産とされるスイスフランは今年になって対米ドルで約13%上昇している。
スイスメムは8月7日の関税導入後、会員企業の385社を対象に調査を実施。ヒルツェル会長は記者団に、多くのスイスの技術系企業が事業の合理化と移転の準備を進めていると説明した。
同氏は「解雇は避けられない」と述べ、人員削減の規模は政治家が米関税率をどれだけ迅速に引き下げられるかにかかっていると付け加えた。
スイス技術産業の2025年上半期の製品輸出額は前年同期比0.9%減少した。アジア向けが減り、欧州でも需要が停滞した。
米国向けの技術製品輸出は第1・四半期に急増したが、米国が4月に関税導入をちらつかせたことを受けて急減し、第2・四半期の受注総額は前年同期比13.4%減った。