低所得国の債務返済、民間向けが対中国の3倍に

途上国の債務危機解決を訴える団体「デット・ジャスティスUK」が実施した調査で、低所得国の対外債務返済規模は民間の貸し手向けが、中国向けの3倍に達していることが分かった。写真は香港の夜景。2020年6月、香港で撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)
Libby George
[11日 ロイター] - 途上国の債務危機解決を訴える団体「デット・ジャスティスUK」が実施した調査で、低所得国の対外債務返済規模は民間の貸し手向けが、中国向けの3倍に達していることが分かった。
デット・ジャスティスが世界銀行のデータを利用して2020-25年の88の低所得国・島しょ国の対外債務返済状況を調べたところでは、全体の39%(総額3540億ドル)が民間の貸し手向けで、34%が多国籍機関向け、13%が中国向けだった。
対外返済規模が最も大きかった32カ国のうち、21カ国は返済額の3割以上が民間向け。中国に対する返済が3割以上だったのはアンゴラ、カメルーン、コンゴ共和国、ジブチ、ラオス、ザンビアの6カ国にとどまった。
デット・ジャスティスの政策ディレクター、ティム・ジョーンズ氏は、こうしたデータは低所得国の債務危機が主に中国が原因だという説に反していると指摘。「商業目的で高金利を設定している貸し手が低所得国から最も多くの返済を受けている。返済負担が大き過ぎる分野では、全ての債権者が設定金利に応じて(借り手の)債務を帳消しにする必要がある」と強調した。