プーチン氏、米の圧力に屈せず戦闘継続へ 和平交渉に強硬=関係筋

ロシアのプーチン大統領は、トランプ米大統領の制裁強化の脅しにも動じず、西側がロシアの示す条件で和平交渉に応じるまでウクライナで戦闘を続ける意向だ。2018年11月撮影(2025年 ロイター/Marcos Brindicci)
Guy Faulconbridge Darya Korsunskaya
[モスクワ 15日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、トランプ米大統領の制裁強化の脅しにも動じず、西側がロシアの示す条件で和平交渉に応じるまでウクライナで戦闘を続ける意向だ。ロシア軍の進軍に伴い領土問題に対する要求が拡大する可能性もあるという。ロシア大統領府(クレムリン)に近い3人の関係筋が明らかにした。
同関係筋は、プーチン大統領がロシアの経済と軍事力について、西側諸国の追加措置を乗り切るのに十分な強さがあると考えているとも述べた。
トランプ米大統領は14日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに北大西洋条約機構(NATO)経由で最新鋭兵器を供与すると明らかにした。同時に、ロシアが50日以内に和平合意に応じなければロシアに制裁を科すと表明。これまでのロシアへの対応を大きく転換させた。
クレムリン上層部の考えに詳しいロシアの情報筋3人は、プーチン大統領は西側からの圧力で戦争を止めるつもりはなく、西側が課した厳しい制裁を乗り越えたロシアは、ロシア産原油の買い手に対する米国の関税を用いた脅しなど、さらなる経済制裁にも耐えられると信じていると述べた。
その1人は「プーチン大統領は、米国を含め誰もウクライナ和平の詳細について真剣に協議していないと考えているため、望む結果が得られるまで戦い続けるだろう」と語った。
トランプ大統領との間で数回の電話会談や、トランプ米政権のウィットコフ中東担当特使のロシア訪問があったにもかかわらず、プーチン大統領は和平案の基礎に関する詳細な議論は行われていないと考えているという。関係筋は「プーチン大統領はトランプ大統領との関係を重視しており、ウィトコフ氏とも良好な協議を行ったが、何よりもロシアの利益が優先される」と述べた。
ロイターの報道についてコメントを求められたホワイトハウス報道官のアンナ・ケリー氏は、バイデン前大統領が政権中に戦争勃発を許したと非難した上で「バイデン氏と違い、トランプ大統領は殺害を止めることに重点を置いており、プーチン大統領が停戦に同意しない場合は厳しい制裁と関税に直面することになるだろう」と語った。
プーチン大統領が提示した和平の条件には、NATOが東方に拡大しないという法的拘束力のある誓約、ウクライナの中立と軍事力の制限、ウクライナに住むロシア語話者の保護、ロシアの領土獲得の受け入れなどが含まれている。
同筋によると、プーチン大統領は主要国を巻き込んだウクライナの安全保障についても協議する意向を示しているが、それがどのように機能するかは全く明らかではないという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナはロシアの占領地域に対する主権を決して認めず、NATO加盟の是非を決定する主権はウクライナが保持すると述べている。大統領府はこの件に関するコメント要請には応じなかった。
クレムリンの考えに詳しい別の情報筋は、プーチン大統領は西側諸国の圧力による潜在的な経済的損失よりも自身の目標の方がはるかに重要だと考えており、ロシア産原油の購入に対して中国とインドに関税を課すという米国の脅しを懸念していないと述べた。
また2人の関係筋は、ロシアが戦場で優位に立っており、砲弾などの主要な軍需品の生産においても米国主導のNATO同盟国を上回っていると語った。
ロシアはウクライナ領土の約5分の1をすでに支配している。オープンソースの情報地図「ディープステートマップ」のデータによると、過去3カ月で約1415平方キロ(546平方マイル)進軍した。
関係筋は「食欲は食べることで湧いてくる」と述べ、戦争が終結しない限りプーチン大統領は領土拡大を求める可能性があると示唆した。