米政権の対ロ圧力作業部会が解散、交渉停滞やNSC大量解雇で=当局筋
Gram Slattery
[ワシントン 17日 ロイター] - トランプ米政権で、ウクライナ和平交渉の加速に向けロシアに圧力をかける戦略を策定する省庁横断作業部会が設立されたものの、最近解散したことが米当局者の話で分かった。トランプ氏は、いっこうに進展しない和平交渉に業を煮やし、最近は「手を引く」と示唆している。
作業部会は、国家安全保障会議(NSC)によって3月か4月に設立され、国務省、財務省、国防総省、情報機関の当局者が参加した。停戦合意のとりまとめでロシアに圧力をかける戦略が話し合われた。そこで浮上したのは、旧ソビエト諸国、その他東欧・アジア諸国に対し、ロシアとの貿易や、ロシアからのエネルギー輸入を制限するよう促すまたは圧力をかけることだった。ロシア依存を減らす内容の経済協定から秘密の特殊作戦まで、さまざまなアイデアが提起されたという。対ロ制裁回避の取引に利用されている国の一つのカザフスタンに、より積極的に取り締まってもらうようインセンティブの制度を構築する案も出されたという。
しかし5月になると、作業部会の活動は停滞する。当局者によると、トランプ氏がロシアに対し強硬姿勢を取ることに関心がないことが、参加者の目で明らかになったためという。
決定的な打撃となったのが、NSCメンバーの大部分が解任されたことだった。欧州・ロシア担当の責任者アンドリュー・ピーク氏、ウクライナ戦争を直接担当するチーム全員が解任された。ロシア担当の高官はほとんど残っていないという。
作業部会の解散を命令したのが誰なのかは不明。トランプ氏がこの作業部会の設立、そして解散を知っているのかも分からない。当局者はNSCでの大量解雇のせいで存続不可能になったと指摘した。
ホワイトハウス、財務省、国務省、国防総省はコメント要請に応じていない。