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米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/イプソス調査

2025年06月16日(月)09時55分

6月15日、ロイター/イプソスが米国で実施した世論調査で、連邦最高裁が政治的に中立であるとの見方に「同意しない」との回答が58%と過半数を占めた。ワシントンの最高裁で2024年6月撮影(2025年 ロイター/Will Dunham)

[ワシントン 15日 ロイター] - ロイター/イプソスが米国で実施した世論調査で、連邦最高裁が政治的に中立であるとの見方に「同意しない」との回答が58%と過半数を占めた。「同意する」と答えたのは20%にとどまり、残りは「分からない」または「回答しない」とした。中でも民主党支持者では「同意しない」が74%を占め、「同意する」はわずか10%だった。

この調査は11、12両日に実施され、米国に住む成人1136人が回答した。誤差はプラスマイナス3%ポイント。

最高裁が近年の主要な訴訟で下した判決によると、妊娠の人工中絶の権利を後退させた一方、銃を所有する権利を拡大し、トランプ大統領が2020年の大統領選の敗北を覆そうとした罪で起訴されている裁判を巡って在職中の公的な行為の「免責特権」を認め、人種的な不平等を考慮した大学入試を認めず、連邦政府機関の権限を抑制してきた。9人の判事のうち多数派の6人が保守派で、そのうち3人はトランプ氏が大統領1期目に指名した。

回答者のうち最高裁に好意的な見方を示したのは44%にとどまり、うち共和党支持者では67%に達した一方、民主党支持者ではわずか26%だった。

最高裁を巡っては、中絶を全国的に合法化したロー対ウェイド(1973年の人工妊娠中絶の権利を認めた判決)を覆す判決を2022年6月に下して以来、人気が低下している。ロイター/イプソスが21年終盤に実施した世論調査では最高裁に好意的だとの回答が57%に達していたのに対し、22年6月下旬の調査では43%に低下していた。

判事らは今後数週間に大きな訴訟の判決を下すと予想されており、それらの中には18歳未満の未成年者への性適合治療を禁じた南部テネシー州法の合法性に関する訴訟や、米国で生まれた子供に自動的に米国籍を与える「出生地主義」の修正を命じたトランプ氏の大統領令を巡る訴訟が含まれる。

今回の調査では、「未成年者が性自認に基づいて性適合治療を受けることを禁止する法律」を支持するとの回答が53%に達した。28%は反対し、残りは「分からない」または「回答しない」とした。

共和党支持者では支持が57%、反対は28%。これに対し、民主党支持者では支持が23%、反対は54%だった。

昨年12月4日の口頭弁論で、保守派の判事たちはこの法律を支持する意向を示した。最終的な判決は、出生時の性と自認する性が一致しないトランスジェンダーを対象とする他の州の法律にも影響を与える可能性がある。

トランプ氏が今年1月に出生地主義の修正を明示した大統領令に署名後、米国で生まれた全ての人に市民権を保障した合衆国憲法修正14条に違反するとして22州が訴えた。

今回の調査では、出生地主義の廃止に過半の52%が反対し、賛成はわずか24%。残りは「分からない」または「回答しない」だった。

民主党支持者では84%反対し、賛成は5%しかなかった。一方、共和党支持者は43%が賛成し、24%が反対した。

最高裁はオンラインでアダルトサイトにアクセスする際に年齢確認を義務付ける南部テキサス州法の合法性についても今月中に判決を下す見通しだ。70%の回答者が支持し、反対はわずか14%だった。民主党支持者では65%が支持し、18%が反対した。共和党支持者では80%が支持し、反対はわずか7%だった。

最高裁の1月15日の口頭弁論で、判事らは各州が未成年者のアダルトサイトへのアクセスを阻止することに同意した一方、成人にとっては保護されている閲覧行為に負担が生じることに懸念を示した。

ロイター
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