核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和研が警鐘

6月16日、 シンクタンクのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、世界の核保有国が核兵器を増強し、軍縮条約から離脱する中、冷戦以来の数十年にわたる核兵器備蓄削減に終止符が打たれ、新たな脅威の時代が生まれていると警鐘を鳴らした。写真は原子力のイメージと米国やイランの旗。2022年9月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ストックホルム 16日 ロイター] - シンクタンクのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は16日、世界の核保有国が核兵器を増強し、軍縮条約から離脱する中、冷戦以来の数十年にわたる核兵器備蓄削減に終止符が打たれ、新たな脅威の時代が生まれていると警鐘を鳴らした。
SIPRIによると、今年1月時点で世界に存在する核弾頭は推定1万2241発で、そのうち約9614発が使用可能。配備されている弾頭のうち約2100発は米国やロシアなどの弾道ミサイルに搭載されている。
SIPRIは世界的な緊張を背景に核保有国である米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9カ国が核兵器備蓄を増やす計画だと指摘。
「冷戦終結以来続いてきた世界の核兵器削減の時代は終わりを迎えつつある」とし、「核兵器の増強、核のレトリックの激化、軍縮協定の放棄という明確な傾向が見られる」と分析した。
SIPRIによると、ロシアの保有数は約5459発、米国は約5177発、中国は約600発。
世界の核兵器の約9割を保有する米ロは昨年時点で、使用可能な弾頭数が比較的安定していたが、両国とも大規模な近代化計画を実施しており、将来的に核兵器の規模が拡大する可能性がある。
最も急速に核兵器を増やしているのは中国で、2023年以降、毎年約100発の弾頭を追加している。20年代末までにロシアや米国と少なくとも同数の大陸間弾道ミサイルを保有する可能性がある。