EUと英国、英領ジブラルタルの国境通過手続き簡素化で合意

6月11日、欧州連合(EU)と英国政府は、スペイン南部の英領ジブラルタルの国境通過手続きを簡素化することで合意した。写真は、ブリュッセルの欧州委員会本部の英国旗。2017年10月、ベルギーで撮影(2025年 ロイター/ Francois Lenoir)
[マドリード/ロンドン 11日 ロイター] - 欧州連合(EU)と英国政府は11日、スペイン南部の英領ジブラルタルの国境通過手続きを簡素化することで合意した。
ジブラルタルは18世紀以来、英国が統治権を有しており、英国が2016年の国民投票でEU離脱を決めてからは、その法的な地位やスペインとの国境の管理の仕方が争点になってきた。
ジブラルタルの住民は居住者カードを使い、パスポート(査証)検査を受けずに国境を通過することが可能で、スペイン市民は政府発行のIDカードを用いて国境を通過できる。しかし、英国のEU離脱以降はパスポート検査がたびたび導入され、人の往来が滞り、越境労働者が最大で1万5000人も滞留することがあった。
今回の合意によると、ジブラルタル空港からの入国者はジブラルタルとスペイン双方の国境警備官にパスポートを提示する。
英外務省は、ジブラルタルで導入する仕組みは、欧州大陸と英国を結ぶ高速列車ユーロスターが発着するロンドンのセント・パンクラス駅におけるフランス警察の運用モデルに類似した形になると説明。今回の合意によって現実的な解決策が提示され、国境における煩雑な検査や長時間の遅延が回避されると、問題の解消に自信を示した。