訂正-米税制・歳出法案、マスク氏ら反対派と与党指導部の論戦白熱

6月4日、米議会予算局(CBO)は最新の試算で、トランプ大統領(写真右)が掲げる減税延長などの看板政策を盛り込んだ税制・歳出法案が成立した場合、連邦政府の債務は約2兆4000億ドル増えて36兆2000億ドルに達するとの見通しを示した。米議会で5月撮影(2025年 ロイター/Ken Cedeno)
(本文第4段落の「2兆円」を「2兆ドル」に訂正します)
By Richard Cowan, David Morgan
[ワシントン 4日 ロイター] - 米議会予算局(CBO)は4日に公表した最新の試算で、トランプ大統領が掲げる減税延長などの看板政策を盛り込んだ税制・歳出法案が成立した場合、連邦政府の債務は約2兆4000億ドル増えて36兆2000億ドルに達するとの見通しを示した。
こうした中でこの「一つの大きく美しい法案」に反対する与党共和党保守強硬派や実業家イーロン・マスク氏と、法案成立を目指す共和党指導部や政権幹部らとの論戦が一段と白熱化している。
マスク氏はXへの投稿で「新たな歳出法案は財政赤字を大きく膨らませない内容にするべきだ。米国は借金の奴隷になる道を急速に進んでいる」と改めて批判した。
共和党のリック・スコット上院議員は「財政赤字2兆ドル(訂正)を抱えている。財政を均衡させなければ、われわれは金利を下げ、インフレを抑制することはできない」と訴え、ロン・ジョンソン上院議員も現在の法案は財政赤字と債務を縮小方向に転換させることに失敗していると指摘した。
一方、共和党指導部はマスク氏の主張を否定。あるホワイトハウス高官は、最近まで政権に参加していたマスク氏がこうした行動を取ることは「腹立たしい」と反発している。
またジョンソン下院議長は「CBOの試算は本題から注目をそらそうとするものだ。森全体が燃えているのを無視して、枝葉末節の議論をしている」と強調した。
既に下院で可決された一つの大きく美しい法案は現在、上院で審議中。共和党53議席、野党民主党47議席という構図において、反対で結束している民主党に共和党から4人の造反者が合流すれば、法案は否決される。
保守強硬派は、この法案では低所得者向け公的医療保険「メディケイド」関連の歳出削減が十分でないと不満を持っている。