中国、長距離爆撃機を南シナ海の島に展開 シャングリラ会合控え

中国が今月、南シナ海・西沙諸島(パラセル諸島)の永興島(ウッディー島)に長距離爆撃機「轟(H)6」2機を着陸させたことが、衛星画像で判明した。写真は、ウッディー島の飛行場の滑走路に駐機する爆撃機。5月19日、南シナ海で撮影。MAXAR TECHNOLOGIES提供(2025年 ロイター)
[香港 28日 ロイター] - 中国が今月、南シナ海・西沙諸島(パラセル諸島)の永興島(ウッディー島)に長距離爆撃機「轟(H)6」2機を着陸させたことが、衛星画像で判明した。轟6が同島に展開するのは2020年以来初めて。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院の防衛学者コリン・コー氏は「中国の長距離爆撃機がパラセル諸島にいる必要はないので、フィリピンや米国などに対して中国が全方位的なシグナルを送っているように思える」と指摘した。
シンガポールで週末開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ会合)では、30日にフランスのマクロン大統領が講演し、31日にヘグセス米国防長官がトランプ政権の同地域に対するアプローチを説明する。
アナリストらによれば、轟6は対艦ミサイルや陸上攻撃巡航ミサイルを搭載するために冷戦時代の機体を改良したもので、核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射できる機体もあることから注視されている。昨年10月に台湾周辺での軍事演習に投入され、同7月には米本土近くを初めて飛行した。
中国国防省、フィリピン当局からはコメントを得られていない。
中国によるパラセル諸島実効支配にはベトナムも異議を唱えている。
ベトナム外務省からもコメントを得られなかった。