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米、半導体設計ソフトの対中輸出を制限 化学品や工作機械も=関係筋

2025年05月29日(木)13時30分

トランプ米政権は、半導体設計ソフトを提供する米企業に対し、中国企業に対するサービス提供を停止するよう命じた。2022年2月撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)

[28日 ロイター] - 複数の関係筋によると、米政府は半導体の設計に用いられる電子設計自動化(EDA)ソフトウエアの開発企業に対し、輸出許可なく中国にソフトを販売することを中止するよう命じた。

また、半導体用の化学品、ブタンやエタン、工作機械、航空機器も対象になる。米商務省はここ数日で多くの企業に書簡を送付し、新たな輸出制限について通知したという。

主要産業に必要な製品を中国が調達できないようにする狙いがあるとみられ、対中関係の緊張がエスカレートする可能性が高い。

関係筋1人によると、EDAソフトを開発するケイデンス、シノプシス、シーメンスEDAに商務省が通知文書を送り、技術提供を停止するよう求めた。

関係筋2人によると、開発企業は23日に通知を受け取った。商務省は中国への輸出許可申請をケースバイケースで判断するとし、全面的な輸出禁止ではないことを示唆しているという。

商務省報道官は、中国への戦略的に重要な輸出について見直しているとし、「見直しが実施されている間、商務省は一部のケースで既存の輸出許可を停止したり、許可要件を追加したりしている」と述べた。

ケイデンスの株価は10.7%急落。同社はコメントを控えている。

シノプシスの株価は9.6%下落。同社の最高経営責任者(CEO)は、書簡は受け取っておらず、輸出管理を担当する商務省産業安全保障局からも連絡はないと述べた

シーメンスEDAのコメントは取れていない。

シノプシスは年間売上高の約16%、ケイデンスは約12%を中国に依存している。対中輸出が禁止された場合、業績に悪影響が出る恐れがあるほか、最先端の米国製ソフトに強く依存する中国の半導体設計メーカーも打撃を受ける可能性がある。

元商務省関係者は「(EDAソフトは)締め付けで非常に重要なポイントになる」とし、EDAソフトの対中輸出規制は1期目のトランプ政権でも検討されたが、あまりにも攻撃的なため、見送られたと述べた。

ロイター
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