ニュース速報
ワールド

新興国株ファンド、リターン好調 米国から資産分散

2025年05月23日(金)19時32分

 LSEGがまとめたデータによると、今年は新興国株式ファンドが好調なリターンを記録している。ニューヨークで13日撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Patturaja Murugaboopathy  Johann M Cherian

[23日 ロイター] - LSEGがまとめたデータによると、今年は新興国株式ファンドが好調なリターンを記録している。

バリュエーションが魅力的なことや、投資家のポジションがこれまで少なかったことが背景。トランプ米大統領が関税の一時停止を表明したことも支援要因となっている。

中南米株式ファンドと欧州新興国株式ファンドの年初来リターンはともに約24%。新興国株式ファンド全体のリターンは9.3%となっている。

特にモロッコ、コロンビア、ギリシャ、ブラジル、ポルトガルに投資する株式ファンドは、いずれも年初来リターンが30%を超えている。

これに対し、米国株ファンドのリターンは0.17%、グローバル株式ファンドのリターンは6.8%にとどまっている。

新興国株式のパフォーマンスはここ数年、先進国株式に見劣りしていた。だが、今年は米経済・財政に対する懸念やトランプ大統領の先が読めない政策でドルの信認が揺らぎ、米国から資産を分散する動きが出ている。

LSEGリッパーのデータによると、新興国株ファンドには1─5月に前年同期比43%増の106億ドルが流入した。

GlobalXの新興国市場シニア・ポートフォリオ・マネジャー、マルコム・ドーソン氏は、これまで新興国株式への投資が手薄になっていたことが背景だと指摘。MSCIグローバル・インデックスに占める新興国市場のウエートは10.5%だが、米国の投資家は資産の3─5%しか新興国市場に振り向けていないと述べた。

アナリストは、ファンダメンタルズの改善にも注目。中南米諸国は対米貿易収支が赤字のため、関税の影響をほとんど受けず、アジア経済は国内消費に軸足を移している。

JPモルガンは今週、新興国株式の投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げた。新興国の中央銀行はブラジルを除いて金融政策を緩和する見通しで、経済活動が活発化し、株式市場の魅力が高まる可能性があるという。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アリソン・シマダ氏は「中国の消費者というテーマは現在、特に興味深い。中国政府は消費の活性化に非常に力を入れている。また、インドは買われ過ぎかもしれないが、電力会社やノンバンク金融などに投資機会がある」と述べた。

MSCI新興国市場インデックス.dMIEF00000PUS>の12ヵ月先予想株価収益率(PER)は先月末時点で11.96倍と過去10年の平均(12.1倍)をわずかに下回っている。

一方、MSCI米国インデックスとMSCIワールド・インデックスの12ヵ月先予想PERはそれぞれ20.5倍、18.1倍。どちらも過去10年平均(18.8倍、16.9倍)を大きく上回っている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新築住宅販売、4月10.9%増で22年以来の高水

ビジネス

米企業、投入コスト・販売価格の上昇予想=セントルイ

ワールド

米連邦裁、ハーバード大留学生受け入れ資格剥奪を差し

ワールド

トランプ氏の関税警告、貿易交渉でEUに「火を付ける
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    「娘の眼球がこぼれ落ちてる!」見守りカメラに映っ…
  • 5
    空と海から「挟み撃ち」の瞬間...ウクライナが黒海の…
  • 6
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 7
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 8
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 10
    【クイズ】PCやスマホに不可欠...「リチウム」の埋蔵…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 9
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中