米ハーバード大にトランプ政権が圧力、外国人留学生制限で大学財政に痛手

トランプ米政権が5月22日、ハーバード大学の留学生受け入れ資格の取り消しを発表し、他の大学への取り締まり拡大も示唆した。同大学で4月15日で撮影(2025年 ロイター/Faith Ninivaggi)
Kaylee Kang Jaimi Dowdell
[22日 ロイター] - トランプ米政権が22日、ハーバード大学の留学生受け入れ資格の取り消しを発表し、他の大学への取り締まり拡大も示唆した。米国内の多くの大学における重要な収入源を狙い撃ちしたものであり、衝撃が広がった。
セントラルミズーリ大学の元学長で教育コンサルタントのチャック・アンブローズ氏は、外国人留学生は授業料を満額で支払う可能性が高く、奨学金を受けている他の学生を間接的に支えているとの見方を示した。
外国人留学生の受け入れ停止はハーバード大にとって大きな打撃であり、他の大学に対しても「次はあなたたちの番かもしれない」というメッセージを送っていると、大学財務を研究するテネシー大学のロバート・ケルチェン教授は述べた。
国土安全保障省のノーム長官はFOXニュースの番組インタビューで、ニューヨークのコロンビア大学を含む他の大学でも同様の措置を検討しているのかと質問に「もちろん考えている。他の全ての大学に対しても警告になるはずだ」と述べた。
ハーバード大には全学生の27%に当たる6800人の外国人留学生が在籍している。全米教育統計センター(NCES)の統計によると、2023年には学生数が1000人以上の43校で外国人留学生の割合がさらに上昇した。
トランプ政権から反ユダヤ主義的だと非難されているコロンビア大学では、2023年に外国人留学生が全学生の39%を占めていた。1000人以上の学生が在籍する他の246校でも、少なくとも10%の学生が外国人だった。
全米の大学は今回の発表以前から、巨額の連邦研究資金の削減への対応を迫られていた。ハーバード大は反ユダヤ主義や民族的嫌がらせへの対応を怠ったとして、ここ数週間で約30億ドルの連邦政府との契約および研究助成金が凍結または停止された。このたびの措置による財政的影響について、ハーバード大とコロンビア大はいずれもコメントを控えた。
ケルチェン教授は「研究活動を重視する大規模な大学はこれまでも数々の打撃を受けており、今回の措置は単なる追い打ちに過ぎない」と指摘。「今のところ手つかずなのは、学生への奨学金くらいだ」と述べた。