ウクライナ、ソ連崩壊後の国境回復は断念やむなし=前総司令官

5月22日、 ウクライナは1991年のソ連崩壊後、ないし2022年のロシアによる侵攻開始時の領土を回復するという考えを現実的には放棄せざるを得ない――。ウクライナのメディア「RBKウクライナ」は22日、バレリー・ザルジニー前総司令官(写真)が首都キーウで開かれた会合で、こうした見方を示したと伝えた。ウクライナ国内で1月撮影(2025年 ロイター/Oleksandr Ratushniak)
[22日 ロイター] - ウクライナは1991年のソ連崩壊後、ないし2022年のロシアによる侵攻開始時の領土を回復するという考えを現実的には放棄せざるを得ない――。ウクライナのメディア「RBKウクライナ」は22日、バレリー・ザルジニー前総司令官が首都キーウで開かれた会合で、こうした見方を示したと伝えた。
現在駐英ウクライナ大使を務めるザルジニー氏は24年2月、総司令官を解任された。それ以前の数カ月、ゼレンスキー大統領との確執が何度も報じられていた。
ゼレンスキー氏を含むウクライナ政府首脳や高官は長らくロシアに対して、ソ連崩壊時のウクライナ領土から完全に軍を撤退させるよう求め、その対象にはロシアが14年に併合したクリミア半島も含まれた。
しかし最近数カ月で停戦に向けた協議に力を入れ始めたウクライナ政府は、領土問題でこれまでよりも強硬姿勢を後退させている。
こうした中でザルジニー氏は「この部屋には、ウクライナが平和とともに1991年もしくは2022年の国境線を取り戻し、その後大変幸せになれるという奇跡や幸運の兆しをまだ期待する人々はいないと希望する」と語った。
ザルジニー氏は「私の見解では敵(ロシア)はなお、わが国の領土に攻撃や特殊作戦を行う資源と力、手段を有している」と指摘。この1年消耗戦を仕掛けているロシアに対抗する上で、兵力が相対的に小さく経済的に厳しい環境にあるウクライナが唯一頼れるのは先進技術になると力説しつつ「生き残りのためのハイテク戦争」を展開するしかないと強調した。