ニュース速報
ワールド

インド、米国からの輸入品55%の関税引き下げる用意=政府筋

2025年03月25日(火)19時32分

 インド政府は米国との貿易協定の第1段階として、米国からの輸入品の55%について、税率を引き下げる用意があることを政府筋2人が明らかにした。ハイデラバードで撮影(2025年 ロイター/Krishnendu Halder)

Sarita Chaganti Singh Aftab Ahmed Manoj Kumar

[ニューデリー 25日 ロイター] - インド政府は米国との貿易協定の第1段階として、米国からの輸入品の55%について、税率を引き下げる用意があることを政府筋2人が明らかにした。

現在5─30%の関税が課されており、過去数年で最大の関税引き下げにより米国の相互関税発動を回避する狙いがある。

政府筋の一人は、米製品への関税を「大幅に」引き下げるか、一部を完全に撤廃する用意があると述べた。

別の政府高官は、食肉、トウモロコシ、小麦、日用品は関税引き下げの対象外だが、アーモンド、ピスタチオ、オートミール、キヌアについては引き下げられる可能性があると明らかにした。

実質的に100%以上となっている自動車関税も段階的引き下げられる見込みとした。

世界貿易機関(WTO)のデータによると、米国の貿易加重平均関税は2.2%、インドは12%となっている。米国は456億ドルの対印貿易赤字を抱えている。

モディ首相が2月に訪米した際、両国は早期の貿易協定締結を目指し、関税を巡る対立の解消に向けて交渉を開始することで合意した。インド政府は4月2日に予定される相互関税の発表前に交渉をまとめたい考え。

インド政府筋は、米国からの輸入品の55%に対する関税引き下げは、米国が相互課税を軽減するかどうか次第だと指摘した。

政府筋の一人は、関税引き下げの決定は最終的なものではないと述べた。広範な引き下げではなく、分野別や製品別に交渉を進めるなど、他の選択肢も検討していると明らかにした。

また、関税の一律引き下げを視野に入れた広範な関税改革を検討しているものの、議論は初期段階にあり、米国との協議で早期に取り上げられない可能性があるとの見方を示した。

政府筋は相互関税で、対米輸出の87%相当が影響を受けるとする内部分析の結果を明らかにした。

真珠、鉱物性燃料、機械、ボイラー、電気機器など、対米輸出の半分を占める品目について、相互関税により関税が6─10%上昇することが見込まれるという。

110億ドル規模の医薬品と自動車の輸出は、米市場への依存度が高いため、相互関税によって最も大きな打撃を受ける可能性があると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国製品への80%関税は「正しい」、市場開放すべき

ワールド

ロシアで対独戦勝記念式典、プーチン氏は連合国の貢献

ワールド

韓国地裁、保守系候補一本化に向けた党大会の開催認め

ビジネス

米労働市場は安定、最大雇用に近い=クーグラーFRB
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中