ニュース速報
ワールド

アマゾン「違法道路」、環境保護でコロンビア政府が破壊準備も停滞

2024年05月28日(火)10時56分

世界最大の熱帯雨林があるアマゾン地域の内部および周辺で違法に建設された道路を破壊するコロンビア政府の取り組みが、このところ停滞している。写真は2021年3月、コロンビアのカケタで撮影(2024年 ロイター/Luisa Gonzalez)

Oliver Griffin

[ボゴタ 27日 ロイター] - 世界最大の熱帯雨林があるアマゾン地域の内部および周辺で違法に建設された道路を破壊するコロンビア政府の取り組みが、このところ停滞している。ペトロ政権と反政府組織の和平交渉を妨げる恐れがあるとの懸念から、道路の破壊が全面的に停止されているケースもあるという。8人の関係者が明らかにした。

環境の専門家や科学者によると、コロンビアでは武装勢力や地域社会、牧場主などによる違法な道路建設が、森林破壊の主な要因となっている。特にアマゾン地域は、気候変動の原因となる二酸化炭素を大量に吸収するだけに憂慮すべき問題だ。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されているチリビケテ国立公園の内部と周辺には、違法に建設された道路が少なくとも12本ある。だが環境監視団体のグスタボ・ゲレーロ氏によると、ペトロ大統領が環境保護を約束しているにもかかわらず、違法道路の破壊は現在行われていない。

関係者の話では、チリビケテ国立公園に入る違法道路の破壊は止まったままだったり、破壊が開始すらされていなかったりするという。

ムハマッド環境・持続可能開発相はロイターに対し、道路破壊の取り組みは和平の実現や人権擁護、森林破壊対策を含む包括的戦略の一部だと指摘。「森林破壊と環境犯罪に対処するための作戦と計画は続いている」と説明した。

6人の関係者によると、チリビケテ国立公園を分断する道路は昨年12月に破壊する準備が整っていた。だが武装組織EMCとの和平交渉が妨げられるとの懸念などから、破壊は進んでいないという。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中