フィリピンの23年成長率5.6%に、世銀見通し 政府目標下回る

世界銀行は5日、フィリピンの経済成長率が今年は5.6%、来年は5.8%になるとの見通しを示した。資料写真、マニラで2022年12月撮影(2023年 ロイター/Lisa Marie David)
[マニラ 5日 ロイター] - 世界銀行は5日、フィリピンの経済成長率が今年は5.6%、来年は5.8%になるとの見通しを示した。世界経済の成長鈍化や高インフレ、新型コロナウイルス禍の影響などが見通しの重しになるとした。
フィリピン政府は今年の成長率目標を6─7%とし、来年と2028年までは6.5─8%と予測しており、世銀の見通しはこれを下回った。
世銀のシニアエコノミスト、ラルフ・バンドーン氏は「フィリピンは世界経済情勢の影響を受ける」とし、消費者物価の上昇や金融状況の引き締まりで世界経済の成長は鈍化したと指摘。また、国内では新型コロナによる学習機会喪失が将来の生産性に影響を及ぼすと述べた。
一方、投資流入を容易にする改革や産業自由化が成長を押し上げる可能性があるとした。
インフレ抑制が引き続き主要な政策課題とし、来年には消費者物価が中央銀行の目標レンジ(2─4%)内に低下すると予想しているものの、上振れリスクは残ると指摘した。
成長見通しへの主要なリスクとしては、地政学的緊張の高まりが食料や電力の供給混乱につながる可能性や、エルニーニョ現象による食料供給への影響などを挙げた。