世界の化石燃料由来のCO2排出量、今年は過去最大に=報告

英エクセター大学を含む90を超える研究機関の科学者らが5日、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で公表した調査報告によると、世界全体で化石燃料の使用を通じて排出される二酸化炭素(CO2)は今年、過去最大規模になりそうだ。資料写真、フランスのダンケルク港、1月撮影(2023年 ロイター/Yves Herman)
Kate Abnett
[ドバイ 5日 ロイター] - 英エクセター大学を含む90を超える研究機関の科学者らが5日、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で公表した調査報告によると、世界全体で化石燃料の使用を通じて排出される二酸化炭素(CO2)は今年、過去最大規模になりそうだ。
排出量は368億トンと前年比1.1%増加する見通し。世界のCO2排出総量は409億トンと、過去最大だった昨年から横ばいにとどまるとみられる。森林伐採など土地使用に由来する排出量がやや減ったことが影響した。
石炭、石油、天然ガスのいずれでも排出量は増加し、国別では中国とインドが中心。中国の排出量増加はゼロコロナ政策解除後の経済活動再開が原因で、インドは電力需要が同国の再生可能エネルギー供給能力よりも急速に伸び、化石燃料で不足分を穴埋めしているためだ。
こうした排出量増加を受け、2015年のパリ協定で合意された地球の気温上昇を産業革命前に比べて2度未満、できれば1.5度以下に抑えるという目標は一層達成が遠のいている。
調査を主導したエクセター大学のピエール・フリードリングスタイン教授は、気温上昇が1.5度を超えるのは避けられないように見えると指摘。せめて世界の指導者たちは2度未満に気温上昇をとどめるために、COP28で化石燃料由来の排出量の急激な削減に合意すべきだと訴えた。