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自然災害リスクへの強靱性高める取り組みを強化=ASEAN+3で神田財務官
1月26日、神田真人財務官(写真)は、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では今年も対ロシア制裁とウクライナ支援が最優先事項になると述べた。写真は都内で昨年1月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato )
[東京 26日 ロイター] - 神田真人財務官は、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では今年も対ロシア制裁とウクライナ支援が最優先事項になると述べた。G7と同様に日本が今年の議長国を務めるASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)では、自然災害や感染爆発が発生した際に活用できる新たな支援ツールを検討するなど「チェンマイ・イニシアチブ(CMIM)の強化に向けて議論を本格化させたい」と語った。為替については、投機を背景とした急速で一方的な動きは容認できないとの考えを改めて示した。
日本は今年1年間、G7の議長国を務め、5月に広島で首脳会議(サミット)を開催するほか、全国各都市で関係閣僚会合を開く。
神田財務官はロイターとのインタビューで、ロシア制裁とウクライナ支援に加え、エネルギー・食料不安や低・中所得国の債務問題、気候変動や経済安全保障などもG7が緊密に連携して取り組むべき課題だと指摘。無料のデジタルサービスや富の平等、持続可能性といった多様な価値を反映した経済政策についての議論もしたいと語った。
ASEANプラス3の財務相・中銀総裁会合では「金融協力の新たな柱に災害リスクファイナンスを加えるよう提起したい」とも語った。同会合は2000年、通貨急落時に備えた通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」で合意したものの、今回のパンデミックのもとでは活用されなかったと指摘。チェンマイ・イニシアチブの強化に加え、自然災害や感染爆発などが発生した際に起動的に使える枠組みの構築を日本主導で進めていきたいとした。
スリランカの債務問題について、日本はパリクラブ(主要債権国会議)やIMF(国際通貨基金)などと連携し、全ての債権国が一堂に会する会合が行われるよう働きかけている。中国、インドをはじめとする非パリクラブの国の協調を得られれば「今後、他の中所得国の債務再編のモデルケースになる」と期待を示した。
もっとも、この問題の解決に向けては、スリランカ政府自らがIMFとの合意に基づいて改革を実施することや、債権国に十分な情報提供を行うことなどが重要だと注文をつけた。
外為市場では昨年、ドル/円が一時152円付近まで上昇。政府・日銀は24年ぶりのドル売り・円買い介入に踏み切った。神田財務官は「投機を背景とした急速で一方的な動きは、国民生活や企業活動への影響の観点から望ましくなく、容認できない。これからもその考えは変わらない」と語った。
その上で「為替レートは基本的には市場において決定される、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を及ぼす、こういった国際的に合意された考え方に則って適切に為替政策を実施することが重要ということに尽きる」と述べた。
日銀との連携については「コメントを控える」とした上で、一般論として日銀は物価の安定を目指していて、財務省当局は為替市場の安定を目指していると語った。
*インタビューは25日に実施しました。
(杉山健太郎、梶本哲史)