最新記事

心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた禅僧が教える悩まないコツ

2024年4月23日(火)16時09分
枡野 俊明 (曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー)*PRESIDENT Onlineからの転載
「よいも悪いも、好きも嫌いも一切忘れなさい」人生が不思議と好転し悩みが解消する禅の教え 「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた禅僧が教える

SAND555- istock

<現代人は時間に追われ、トラブルばかり、、、。『悩まない練習』を上梓した禅僧の枡野俊明さんは「禅は、よいも悪いも一切忘れることの大切さを教えてくれる」という>

※本稿は、本誌ニューズウィーク日本版が「世界が尊敬する日本人100 人」に選出した枡野俊明さんの『悩まない練習』(プレジデント社、セブン‐イレブン限定書籍)の一部を再編集したものです。

【現代人は「余白」がない】

現代人の時間の使い方は、忙しいがゆえにとても慌ただしいものになっています。

仕事であちこち飛び回っている人のスケジュール表を見ると、向こう数カ月は予定でびっしり埋め尽くされていたりします。朝から晩まで余白がどこにもないのです。

こんなに忙しいとたいへんだろうなあ、と思いますが、スケジュール表に何も書かれていない空白があると、むしろ不安になる人も少なからずいるそうです。

予定がないと不安になるのは、忙しいことが自分の価値を担保すると思い込んでいるからだと思います。また、忙しいことそれ自体に、ある種、中毒性のようなものがあるのかもしれません。

【「7回走ったら、一度は休みなさい」】

けれども、日々時間に追われてばかりいては、自分という存在が何なのかがわからなくなってきます。時に立ち止まり、自分を見つめる時間が必要です。

禅語に「七走一坐しちそういちざ」という言葉があります。「7回走ったら、一度は休みなさい」という意味です。際限なく走り続けることはできません。全力で走ったら、一度休息をとり、自分の走りを見直すことが大切なのです。

「一日一止いちにちいっし」という中国の言葉もあります。「一日に一度止まれば、正しい生き方ができる」という意味です。

走っている状態をやめ、休息をとるには、意識的に心がける必要があります。

【車も人生も「遊び」が重要】

たとえば、1カ月のうち丸一日は何もしない日をつくってみてはどうでしょうか。その日はいっさい何の予定も入れないのです。ちょっとした用事を入れたくなっても、あえて入れないようにします。

ただ、ぼーっと部屋の中で過ごしたり、街をぶらぶら散歩したりして、空白の時間に浸ってみてください。

newsweekjp_20240423054723.jpg

Atstock Productions-istock

そうすることで、心地よい時間の流れがあることに気づいたり、忘れていた自分を取り戻したりすることができるかもしれません。

何の予定も入れない日をつくるのがむずかしい人は、毎日の中で余白の時間をつくってもいいと思います。朝から晩まで忙しくしている人でも、工夫すれば毎日、30分くらいは自分の自由にできる時間をつくれるはずです。

忙しいさなかに時間の余白を少しでもつくることは、生活にいいリズムをつくり、心に余裕をもたらしてくれます。

車のハンドルは、"遊び"がなければコーナーをまわったり、方向を変えたりする際、かくんとなって滑らかな運転ができません。生活における時間の余白は、いってみれば、このハンドルの遊びのようなものです。

座談会
「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中