ニュース速報

ワールド

大規模爆発のレバノン首都、反政府デモで100人以上が負傷

2020年08月09日(日)13時59分

 催涙ガスから逃げるデモ参加者。8月8日、ベイルートで撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)

[ベイルート 8日 ロイター] - レバノンの首都ベイルートを破壊した爆発事故は反政府デモに発展、8日には参加者らが政府庁舎に押し入るなどし、治安部隊と衝突した。

赤十字よると117人が負傷し、55人が病院に運ばれた。警察によると、デモ隊に追いかけれらた警官1人がエレベーターシャフトに転落して死亡した。

デモの参加者は、政治家の怠慢が爆発につながったと抗議。数十人が外務省の建物に押し入り、アウン大統領の肖像画を燃やした。参加者の1人はメガホンを使い、「我々はここにとどまる。レバノン国民はすべての政府庁舎を占拠せよ」と呼びかけた。

街の中心部にある殉教者広場には約1万人が集まり、中には投石する参加者もいた。治安部隊は議会につながる道路を封鎖。ロイターはデモ隊がバリケードを破ろうとし、警察が催涙ガスを発射する瞬間を目撃した。

警察は発砲があったこと、ゴム弾が発射されたことを認めた。誰が撃ったものかは明らかになっていない。警察は何十発もの催涙弾を発射、デモ参加者は爆竹と石を投げて応戦した。

テレビではデモ隊がエネルギー省や経済省に突入する場面が放映された。

ベイルートでは4日、大規模な爆発が発生して157人が死亡、6000人以上が負傷した。政府によると、爆発の原因となった2750トンの硝酸アンモニウムは6年間、安全対策が取られないまま港の倉庫に保管されていた。

爆発は、1975年から90年まで続いた内戦の傷跡が今も残る街を襲った。経済危機に見舞われているレバノンは3月にデフォルト(債務不履行)を宣言、新型コロナウイルスの感染も拡大していた。

昨年10月にも腐敗に抗議する大規模なデモが起きている。

ベイルートの米国大使館は、平和的なデモの権利が市民にはあると支持、すべての関係者に暴力をやめるよう呼びかけた。その上で、レバノン国民には「彼らの声を聞き、透明性と説明責任を求める民衆の要求に応えられる変化を実現する政治リーダーがふさわしい」とツイッターに投稿した。

ディアブ首相は、早期に議会選挙を行うことが唯一の解決策だと語った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-TOPIX採用企業は今期6.6%減益予想、先

ワールド

焦点:シリア暫定大統領、反体制派から文民政府への脱

ワールド

台湾輸出、10月はAI好調で約16年ぶり大幅増 対

ワールド

韓国当局者、原潜は国内で建造 燃料を米国から調達の
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中