ニュース速報

ワールド

アングル:米政権の新広報部長、最大94億円の多彩な資産

2017年07月29日(土)08時30分

7月27日、ホワイトハウスの新広報部長、アンソニー・スカラムチ氏は、映画会社やマンハッタンの豪華なステーキハウスのほか、栄養補助食品会社の株式などを保有していることが明らかになった。写真はホワイトハウスで記者の質問に答えるスカラムチ氏。25日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

[27日 ロイター] - ニューヨークのヘッジファンド創業者として知られるホワイトハウスの新広報部長、アンソニー・スカラムチ氏は、映画会社やマンハッタンの豪華なステーキハウスのほか、米当局から2015年に虚偽広告を指摘された栄養補助食品会社の株式などを保有していることが、保有資産の開示書類で明らかになった。

スカラムチ氏の資産は総額で6100万─8500万ドル(約68─94億円)の範囲にあると推計される。ほかに、不動産ローンや個人ローンなどの負債額が690万─2580万ドルある。

2016年の年初からの収入は1000万ドル以上あり、ほとんどが2005年に自身で創立した投資ファンド、スカイブリッジ・キャピタルから来ている。同ファンドは現在、スカラムチ氏の政権入りに伴い、売却手続き中だという。

開示書類によればスカイブリッジ・キャピタルの売却額によって、同氏は5000万ドルを得る見込み。スカラムチ氏は5月時点で、6月中には売買契約が成立するとしていたが、現在では、外国と関係を持つ購入者についての規制当局の調査終了を待っている状態だ。

スカラムチ氏は、取材の求めに応じなかった。

開示書類によると、スカラムチ氏の妻デイドラさんは昨年以降、スカイブリッジでの投資家向け広報業務で約26万ドルの所得を得ている。スカイブリッジの広報担当者によると、彼女は現在同社に勤務していないが、いつ退職したかは明らかにしなかった。

米政治サイトのポリティコが入手した開示書類は、スカラムチ氏が6月に米輸出入銀行の幹部に指名されたことを受け、政府倫理局に提出されたもの。27日時点では、同銀行の幹部紹介サイトに、同氏の掲載がない。

ポリティコが26日に開示書類を報じた際、スカラムチ氏はツイッターで「犯罪にあたる情報漏えい」と反発したが、その後、このツイートを削除した。保有資産の開示書類は公共文書にあたり、要請に応じて公開されている。

<スポーツと映画>

自らをニューヨーク郊外ロングアイランドのブルーカラー(肉体労働者)出身と称するスカラムチ氏は、開示書類によると、米大リーグのメッツ球団に100万から500万ドルを投資。球団側は、過去1年半の間に、5万3000ドルを同氏に支払っている。

スカラムチ氏は、野球やサッカー、アイスホッケーやバスケットボールなどのオンライン・シミュレーション開発事業を行うスタート・オー・マティック・メディアに、最大25万ドルを投資している。

同氏はまた、ハリウッド映画などの娯楽にも強い関心を寄せている。映画「アメリカン・サイコ」や「ウォール・ストリート」を制作した映画会社に約5万─10万ドルを投資している。報道によると、スカラムチ氏は、オリバー・ストーン監督が1987年のヒット映画「ウォール街」の続編を2010年に制作した際、自分とスカイブリッジを映画に登場させるために10万ドルを支払ったという。

開示書類によると、スカラムチ氏は、いじめに対抗する女子高校生を描いた現在制作中の映画「クレイジー・フォー・ザ・ボーイズ」にも出資している。

スカラムチ氏の資産ポートフォリオの大部分を占めるのが不動産だ。裕福なヘッジファンド幹部が夏の週末を過ごすことで知られる、ロングアイランドのサウスハンプトンに、評価額が100万から500万ドルの住宅を所有しているほか、マンハッタンに共同所有するステーキハウス「ハント&フィッシュ・クラブ」関連で最大10万ドルのローンがある。

スカラムチ氏は、このレストランで頻繁に有名人やプロスポーツ選手らと交流していた。同レストランは、130ドルのポーターハウス・ステーキのほか、自分専用のステーキナイフや靴磨きサービスなどを提供する高級店だ。

スカラムッチ氏は、比較的小さな資産も多数保有している。

ダイエット用の粉末飲料やビタミン剤を扱う栄養補助食品ジェネシス関連会社2社の株式を約3万ドルから10万ドル程度保有している。同社は2015年、コーヒーの緑豆サプリメントで素早くダイエット効果が得られるとの虚偽の宣伝をテレビのショッピングチャンネルで行ったと連邦取引委から指摘された。スカラムチ氏がいつ同社に投資したかは明らかでなく、同社側は取材に応じなかった。

また、NSSIライフ・セトルメント・サービスという、事業内容が明確にされていない会社にも少額を投資している。ライフ・セトルメント・サービスは一般的に、生命保険の加入者がその権利を第三者に売り、生きているうちに現金を受け取る取引を指す。

(Lawrence Delevingne記者、Svea Herbst-Bayliss記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国とロシア、核兵器は人間だけで管理すると宣言すべ

ビジネス

住友商、マダガスカルのニッケル事業で減損約890億

ビジネス

住友商、発行済み株式の1.6%・500億円上限に自

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は5.5%増益 金利上
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中