国内企業物価、11月は前年比2.7%上昇 農林水産物など押し上げ
東京港で2019年2月撮影。REUTERS/Kim Kyung-hoon
Kentaro Sugiyama
[東京 10日 ロイター] - 日銀が10日に発表した11月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比2.7%上昇となった。コメや鶏卵など農林水産物のほか、飲食料品や非鉄金属などが押し上げに寄与した。伸び率は10月から横ばい。前月比では0.3%上昇だった。
ロイターが行った民間調査機関の予測中央値は前年比2.7%上昇、前月比は0.3%上昇だった。
指数は2020年水準を100として128.0。指数は比較可能な1980年以降で最高水準となっている。
前年比の上昇で最も指数の押し上げに寄与したのは農林水産物で、前年比30.1%上昇した。集荷業者が農家に支払う概算金が引き上げられたことがコメの値上がりにつながったほか、鳥インフルエンザ発生の影響で鶏卵も上昇した。
飲食料品は同4.9%上昇。原材料や包装資材など諸コストの上昇を転嫁する動きが出た。非鉄金属は同14.9%上昇。銅、金などの市況が上昇した。
全515品目中、前年比で上昇したのは366品目、下落は121品目。差し引きは245品目で、10月からほぼ横ばいだった。日銀の担当者は、国際商品市況の動向や企業の価格設定行動、政府による物価高対策の影響を引き続き注視していくとした。
併せて発表された北米向けの乗用車の輸出価格(契約通貨ベース)は前年比13.8%下落。下落率は前月の13.5%からほぼ横ばいだった。
大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏は、国内企業物価指数の先行きについて、当面は前年同月比でプラス2%を上回って推移する可能性が高いものの、緩やかに低下するとみている。「農林水産物や飲食料品の価格の上昇ペースは鈍化傾向にある。経済対策で冬場の電気代・ガス代の補助策が盛り込まれていることも、企業物価を一時的に押し下げる方向に寄与する」としている。
*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。
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