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中立金利「まだまだ距離」、利上げ判断すべき局面=田村日銀委員

2025年10月16日(木)11時32分

 日銀の田村直樹審議委員は16日、中立金利には「まだまだ距離がある」との認識を示し、金融緩和度合いを調整して「中立金利にもう少し近づけるべく、利上げを判断するべき局面にきている」との考えを強調した。写真は都内の日銀で昨年3月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takaya Yamaguchi

[那覇市 16日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は16日、中立金利には「まだまだ距離がある」との認識を示し、金融緩和度合いを調整して「中立金利にもう少し近づけるべく、利上げを判断するべき局面にきている」との考えを強調した。沖縄県金融経済懇談会で語った。

田村委員は9月会合で利上げ提案を行った1人。政策運営を巡り、田村委員は「経済・物価の上振れ・下振れ双方向のリスクがある状況に備えるには、中立的な金融政策スタンスに近づけておくことがリスクマネジメント上、重要」とし、引き続き、利上げの必要性を訴えた。

中立金利については「最低でも1%」との見方を示してきた。この日の懇談では「実際のところ中立金利が1%以上のどの辺りにあるのかは、政策金利を引き上げつつ経済・物価の反応をみて探っていくしかない」とした。

田村委員は、物価安定目標の実現時期について「前倒しとなる可能性は高まっている」との認識も示し、利上げが遅れれば「物価を落ち着かせるために急速な利上げを余儀なくされ、結果的に日本経済に大きなダメージを与えることになる」と述べた。

日本経済の現状については「一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば、緩やかに成長している」と話した。

9月調査日銀短観を引き合いに「企業の前向きな姿勢が引き続き維持されていることを裏付けるものだった」とし、米関税を巡る不確実性が低下したと強調。懸念された海外経済の減速も「当初考えていたほどではない可能性が十分にある」と語った。

企業の前向きな経営姿勢や食料品の価格上昇などを例に挙げ、「物価がベースシナリオから上振れる可能性もある」としたうえ、先行きの国内の物価情勢について「7月の展望レポートで示した見通しと比べ、上振れて推移するリスクが大きい」との考えも述べた。

ロイター
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