ニュース速報
ビジネス

EUの凍結ロシア資産活用案、中銀の金購入加速の可能性

2025年10月15日(水)11時45分

 欧州連合(EU)欧州委員会が提案している、ロシアの凍結資産を活用したウクライナ支援計画案を受け、一部の中央銀行に動揺が走っている。アナリストによれば、これにより西側諸国以外の地域での外貨準備高を目的とした金購入が加速する可能性がある。写真は2016年9月、カザフスタン・アルマトイにあるカザフスタン国立銀行(中銀)の金庫室で撮影した金の延べ棒(2025年 ロイター/Mariya Gordeyeva)

Polina Devitt

[ロンドン 14日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会が提案している、ロシアの凍結資産を活用したウクライナ支援計画案を受け、一部の中央銀行に動揺が走っている。アナリストによれば、これにより西側諸国以外の地域での外貨準備高を目的とした金購入が加速する可能性がある。

支援計画案では、欧州内で現在凍結されている最大1850億ユーロ(約33兆円)に上るロシア政府資産を押収せずに活用することが可能になる。ただ、多くの国や欧州中央銀行(ECB)にとっては超えてはならない一線とされる。

中国や一部の途上国は、ロシアが制裁で3000億ドルの外貨準備高を凍結されたことを受け、既に西側諸国の通貨や国債を手放し、金に分散投資している。

メタルズ・フォーカスによると、各国中銀による金の年間純購入量は2022年以降、過去5年平均の2倍超となる1000トンを上回っている。これにより金相場は一層押し上げられ、金価格は今月1オンス=4000ドル超と過去最高値を更新した。

英オンライン貴金属取引所ブリオンボールトの調査責任者エイドリアン・アッシュ氏は「金は誰の負債でも債務でもなく、外貨準備高の政治的安全性を懸念する中銀にとっては非常に魅力的だ」と指摘。万が一EUがウクライナへの財政支援のためにロシアの資産に手を付ければ、中銀が金購入を加速することは「十分起こり得る」と分析した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中