ニュース速報
ビジネス

10月ロイター企業調査:生成AI7割が導入、経営判断の支援にも活用

2025年10月09日(木)10時03分

 10月のロイター企業調査で、回答した企業の約7割が生成AI(人工知能)を導入していることが分かった。写真は「AI」の文字と人形のイメージ。2023年3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Maki Shiraki

[東京 9日 ロイター] - 10月のロイター企業調査で、回答した企業の約7割が生成AI(人工知能)を導入していることが分かった。ERP(基幹業務システム)など従来のITツールと比べても一般的に普及ペースは速く、活用分野も経営の意思決定やマーケティング、人事などと多岐にわたっている。

調査は9月24日ー10月3日に実施。発送数497社(資本金10億円以上の上場・非上場企業)のうち、237社から回答があった。

最も活用が進んでいる分野は「マーケティング・営業」(26%)や「人事・総務・経理」(25%)で、導入の効果として最も高かったのが「生産性向上」で8割近くに達した。

「経営戦略・意思決定」(16%)や「生産管理」(13%)にも一定程度の導入が進んでいる。生成AIを単なる業務効率化の手段にとどまらず、経営判断の支援ツールとしても使う動きが出始めていることがうかがえる。さらに17%が「選択肢の全て」と答えており、社内の幅広い部署で使う企業が少なくないことも分かった。

そのほか、「研究開発」(機械)、「一般的な調査」(輸送用機器、精密機器、紙パルプ)、「会議の議事録」(輸送用機器)などが並んだ。「部門単位では導入しておらず、社員ごとに活用」(陸運)、「現状は個人の有効活用に委ねるレベル」(精密機械)との回答があった。「一部で試験導入」(ガラス・土石)したり、「導入分野を精査・検討している」(電機)企業もあった。

「生成AI元年」に位置づけられる対話型AIサービス「チャットGPT」の公開(2022年11月)から約2年で7割が導入済みというペースは、5─10年以上かかったクラウドサービスやERPなど従来の企業ITツールと比べて普及が速い。

一方、27%が生成AIを「導入していない」と回答し、慎重な企業も一定数残る。

導入・未導入にかかわらず、生成AIの活用を巡る懸念については、「誤情報や不正確な出力」が78%と最も高く、約6割が「情報漏えい」のリスクを挙げた。「個々の考える力の低下」(化学)、「人間の思考力や知識の低下」(サービス)への懸念も聞かれた。

(白木真紀 グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反発、米ハイテク株高を好感 ソフト

ワールド

金正恩氏、朝鮮労働党の功績を称賛 創建80年控え

ワールド

米上院、ベネズエラ船舶に対する軍事行動終わらせる措

ビジネス

米シスコ、AIデータセンター結ぶ新型ネットワーク半
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ「過激派」から「精鋭」へと変わったのか?
  • 3
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示す新たなグレーゾーン戦略
  • 4
    ヒゲワシの巣で「貴重なお宝」を次々発見...700年前…
  • 5
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 6
    インフレで4割が「貯蓄ゼロ」、ゴールドマン・サック…
  • 7
    【クイズ】イタリアではない?...世界で最も「ニンニ…
  • 8
    「それって、死体?...」新婚旅行中の男性のビデオに…
  • 9
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 10
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 9
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中