英資産価格上昇で富裕層と中間層の格差一段と拡大=シンクタンク

10月8日 英独立系シンクタンクで中低所得層の生活水準向上に取り組むレゾリューション財団が8日発表した報告書によると、資産価格上昇によって、英国世帯の最も裕福な10%と平均的世帯の資産格差が一段と拡大していることが分かった。写真は2024年9月、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Mina Kim)
[ロンドン 8日 ロイター] - 英独立系シンクタンクで中低所得層の生活水準向上に取り組むレゾリューション財団が8日発表した報告書によると、資産価格上昇によって、英国世帯の最も裕福な10%と平均的世帯の資産格差が一段と拡大していることが分かった。
同財団によると、英国家計資産のほぼ半分を上位10%の層が保有する構図は1980年代以降ほとんど変わっていない。
ただ不動産と民間年金運用資産を中心とする価格上昇で、平均世帯が格差を埋めるのはさらに難しくなった。
2006─08年に上位10%層と中間層の資産格差は平均で100万ポンドだったが、20─22年には130万ポンドに膨らんだ。平均所得で見ると、38年分が52年分に延びた形だ。
30代初頭と60代初頭の資産格差は2倍以上開いて31万ポンドに達したという。
同財団のシニアエコノミスト、モリー・ブルーム氏は、リーブス財務相が11月に発表する予算案に一部の与党政治家が盛り込みたいと考えている資産課税強化について、今回のデータは実際にどんな影響がありそうかを示したと指摘した。
その上で「資産課税強化の負担は超富裕層だけでなく、年金生活者や南部の住宅所有者と彼らの家族にも及ぶ公算が大きいという点を正直に認めなければならない」と述べた。
地域別では、06-08年以降はロンドンで住宅価格の急速な上昇を背景として最も格差が拡大した。