英中銀ピル氏、インフレの先行き楽観視 QTペース緩和には反対

イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるピル政策委員は23日、英国の物価上昇の見通しに関して、今年初めの時点よりも楽観視していると述べた。2月撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)
[23日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるピル政策委員は23日、スイス・ジュネーブで開かれた討論会で英国の物価上昇の見通しに関して、今年初めの時点よりも楽観視していると述べた。
英国の8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇と、主要7カ国(G7)では最高水準にある。中銀は9月には目標である2%の2倍相当の4%に達し、ピークを迎えると予想している。
5月と8月の利下げ決定時に反対票を投じたピル氏は、今月18日の会合で政策金利の据え置きには賛成したものの、量的引き締め(QT)ペースを緩めることには反対した。その理由について「もう少し迅速に進める必要性をより重視した」とし「他の人々よりも市場機能が脆弱ではないと考えている」と説明した。
金融政策委員会(MPC)メンバーの中でインフレ警戒派とされるピル氏は「リスクのバランス上の問題として、これまではデフレよりもインフレ圧力の方に傾いていると主張する立場にあった」と発言。その上で「時間の経過とともに、この見方は変化してきている。半年前、9カ月前、1年前よりも今は楽観視している」と述べた。
ピル氏は、新型コロナウイルス禍後の労働力の回復が低調だったことや、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、移民政策の変更といった長期的な要因が英国のインフレの重荷となってきたと述べた。足元では、企業への増税も物価上昇圧力に拍車をかけかねないとの見方を示した。
経済協力開発機構(OECD)は23日、英国の2025年のインフレ率予測を従来の3.1%から3.5%に、26年は2.7%にそれぞれ引き上げた。一方、英中銀は27年春にインフレ率が2%に戻るとみている。