米商用車メーカー、メキシコからの調達拡大 関税コスト軽減狙う

8月27日、大型トラックなどを製造する米国の商用車業界が、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の関税軽減措置を活用しようとメキシコからの部品調達を拡大している。写真はピータービルトのトラック。2014年7月、イリノイ州シカゴ近郊で撮影(2025年 ロイター/Jim Young)
Abhinav Parmar
[26日 ロイター] - 大型トラックなどを製造する米国の商用車業界が、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の関税軽減措置を活用しようとメキシコからの部品調達を拡大している。
通商拡大法232条に基づき鋼材やアルミニウム、銅の派生品の輸入には50%の関税を課されている。これがパッカーをはじめとする商用車メーカーの製造コストを押し上げている。
一方、ドイツのダイムラー・トラックや、フォルクスワーゲン(VW)傘下の商用車部門トレイトンなどはメキシコで製造することで課税を回避し、米国内に製造拠点を置く企業に比べてコスト面で優位に立っている。
USMCAの取り決めでは一定の地域調達ルールを満たす限り、米国、メキシコ、カナダの3カ国間では商品を無関税で移動させることができる。大型トラックは少なくとも64%を北米で調達するよう義務づけられており、この基準は2027年に70%に引き上げられる。
スウェーデンのボルボと子会社マックトラックスはそれぞれ米東部バージニア州ダブリンとペンシルベニア州マカンジーの工場で米国市場向けの車両を生産している。ボルボの北米部門の広報担当は「米国内で製造されたトラックは、実際のところ現時点ではメキシコ製トラックに比べて不利な状況にある」と認めた。
同社は4月、米事業を支えるために、メキシコ工場への投資計画を3億ドル増額して10億ドルに引き上げた。
バーンスタインの試算によると、米国で組み立てられるトラックは輸入部品への関税の影響で、メキシコで製造されたUSMCA基準を満たしたモデルと比べてコストが3%増える。
バーンスタインのシニアアナリスト、チャド・ディラード氏は「米国内の製造比率がメキシコよりも高い企業は相対的にコスト面で不利な立場に置かれており、これはトランプ政権が望むこととは真逆の状態だ」と述べた。
パッカーは第3・四半期の関税コストを7500万ドルと見積もっている。ダイムラーの25年第1・四半期の粗利益率は21.96%で、パッカーの18.69%を上回った。
ACTリサーチによると、関税による1台あたりのコストの上乗せは推計で2-4%。原材料、鋳物、完成部品がトラックの製造コストに占める割合は85%前後となっている。