ニュース速報
ビジネス

米EU関税合意、製薬業界に最大190億ドルの追加コスト発生か

2025年07月29日(火)07時20分

7月28日、米国と欧州連合(EU)の貿易交渉の合意によって欧州から米国に輸出される医薬品に15%の関税が適用される見込みとなったことで、製薬業界には最大190億ドルの追加コストが発生する可能性がある――。写真は薬の錠剤やカプセル。2024年6月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Bhanvi Satija

[28日 ロイター] - 米国と欧州連合(EU)の貿易交渉の合意によって欧州から米国に輸出される医薬品に15%の関税が適用される見込みとなったことで、製薬業界には最大190億ドルの追加コストが発生する可能性がある――。複数のアナリストが28日、こうした見方を示した。

アナリストの1人は、製薬会社が関税の影響を軽減する措置を実施できない場合、消費者向けの販売価格が引き上げられてもおかしくないと話した。

これまで医薬品は関税対象から除外されてきた。欧州の対米輸出を品目別に見ると、金額ベースで医薬品は最大で、欧州の輸出医薬品の約6割は米国向けだ。

EU当局者は27日、米国と合意した15%の関税率は、一部のジェネリック(後発薬)を除く医薬品にも適用されると述べた。

トランプ政権は安全保障の観点から医薬品輸入に関して調査を進めており、製薬業界は今回の合意とは別に特定品目として関税が課せられる事態も警戒している。

INGのアナリスト、ディーレリク・スタディグ氏は、この調査が完了した後でも15%のほかに追加で関税が発動されるとは見込んでいないとしつつも、貿易協定が正式に成立するまで不透明感は残ると付け加えた。

スタディグ氏は、15%の関税で製薬業界にかかる新たなコストは130億ドルに達し、最終的に消費者が一部を負担する恐れもあるとみている。

一方バーンスタインのアナリスト、コートニー・ブリーン氏は、製薬業界の追加コストを190億ドルと見積もった。ただ業界は在庫積み上げや研究機関との契約見直しなどである程度のコストを吸収できるのではないかと分析した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、貸出オペに「気候ファクター」導入へ 担保価

ビジネス

米国向け自動車価格の下落、企業収益下押しの要因とみ

ビジネス

野村HDの4-6月期純利益、前年比52%増 法人部

ビジネス

UBS、為替デリバティブ販売抑制 米関税発表で顧客
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経験豊富なガイドの対応を捉えた映像が話題
  • 4
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 5
    アメリカで牛肉価格が12%高騰――供給不足に加え、輸入…
  • 6
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 7
    運転席で「客がハンドル操作」...カリフォルニア州、…
  • 8
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 10
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 1
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心中」してしまうのか
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 6
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 7
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 8
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 9
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 10
    アメリカで牛肉価格が12%高騰――供給不足に加え、輸入…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 6
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 10
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中