アングル:無難入札に「クジラ」の影、株高が支える債券買い 懸念は財政拡張

6月27日、 超長期金利の急騰に一時揺れた円債市場が徐々に落ち着きを取り戻してきている。写真は円紙幣。都内で2024年7月代表撮影(2025年 ロイター)
Mariko Sakaguchi
[東京 27日 ロイター] - 超長期金利の急騰に一時揺れた円債市場が徐々に落ち着きを取り戻してきている。ただ、足元の落ち着きは、株高を背景とした「クジラ」と言われる年金勢によるリバランスの買いや海外勢の買いに支えられているとの見方も根強い。7月の参院選を控えて財政拡張への懸念が再び高まれば、イールドカーブがスティープ化するリスクが顕在化しかねないとの懸念もくすぶる。
<忖度買いの思惑>
5月から6月にかけて市場で不安視されていた30年債入札(5月13日)、10年債入札(6月3日)、5年債入札(同19日)はいずれも無難もしくは順調な結果となった。ある国内証券の債券セールス担当者は「得体の知れない買いが入った」と指摘する。
証券会社を通さずに落札された「不明額」が膨らんでいたという。10年債と5年債入札では1兆円を超える規模となっており、市場では、今年から直接入札が可能になった年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のほか、ゆうちょ銀行の買い出動が観測された。
先の国内証券の債券セールス担当者は「全般的に国債をサポートする動きにみえてしまう」と話す。日銀は17日、2026年4月以降の国債買い入れ減額ペースの縮小を決定。財務省による25年度の国債発行計画修正案の概要が報じられたのは19日。これらを受けて、過度に急速な調整を緩和するための「忖度買い」が入ったとの受け止めも市場では聞かれた。
<背景にリバランス、公的年金勢も追随か>
もっとも市場参加者の間では、内外の株高を背景とした年金勢によるリバランスの動きが出ているとの見方が強い。ある国内銀行の運用担当は「日本株が堅調に推移する中、遅らせていた円債へのアロケーションの動きが出ているようだ」とみる。買いの規模は、GPIFが自然体でリバランスをしていてもおかしくないといえる範囲だという。
GPIFなどの年金基金は分散投資の観点から、国内外株式や内外債券などの基本ポートフォリオに基づいて資産運用している。価格変動によって各資産の比率が許容範囲を超えた場合は、リバランスを通じて調整を行う。
買いが観測された年限は様々だ。「年金投資家は同じ年限を買い続けるのではなく、損を出さず、かつリターンもとれる最適な年限を循環的に買っていく傾向がある」とニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹氏はみる。同じ条件下にあるとみられる公的年金勢も追随する形で、株から債券へリバランスするタイミングが同時期に起きやすいという。
財務省が週次で公表している対外及び対内証券売買契約等の状況によると、5月11日から6月21日までの6週連続で、国内投資家による外国株の売却が続いている。日本取引所(JPX)の投資部門別取引状況では、5月中旬以降から年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行による日経225先物の売り越しが継続している。
モルガン・スタンレーMUFG証券のエクゼクティブディレクター、杉崎弘一氏は、新型NISAなどを通じた投資信託の安定的な買いが存在することを踏まえると、それを上回るペースで信託勘定が外国株式を売却している可能性が高いと指摘。また、信託銀行が日本株の売り手になっていることから、その売却資金が国内債券に主にアロケーションされていると推測する。
<スティープ化のリスクも>
市場では、財務省と日銀が円債市場への配慮を示したことは「シグナル効果が大きく、以前のような金利急騰リスクは低下した」(ニッセイ基礎研の福本氏)との声がある。買入消却(バイバック)案は見送られたが、当初発行1回当たり1000億円としていた20年債の減額幅が2000億円にされたことは、需給の引き締まりに効いてくるとみる市場参加者は多い。
とはいえ、足元では「焦って買うよりも市場は様子見が続きやすい」と明治安田アセットマネジメントの債券運用部シニア・ポートフォリオ・マネジャー、大崎秀一氏は指摘する。中東やウクライナを巡る地政学リスクや米相互関税上乗せ分の猶予期限を控え、不確実性が晴れていないためだ。
東京都議会選挙で自民党が大敗したことも警戒感に拍車をかける。7月の参議院選挙を控え、「財政拡大につながる減税の話が現実味を帯びてくれば、円債にとってはマイナス」(国内銀の運用担当)とされる。
財政拡張懸念が高まれば、足元の円債の買い手である海外勢が利食いに動いたり、「もっと高いタームプレミアム(価格変動などのリスクを補うための上乗せ金利)を要求してくる可能性がでてくる」(モルガン・スタンレーMUFGの杉崎氏)。リスクオフの流れが強まれば、株安に伴って年金勢は債券のリバランス売りに回る。いずれも、再び超長期債の金利上昇圧力が高まるリスクがあり、市場の警戒感は根強い。
(坂口茉莉子 編集:平田紀之、石田仁志)
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