ECB総裁、デジタルユーロ発行に向け欧州議会に法整備加速訴え

6月23日、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁(写真)は、欧州連合(EU)欧州議会に対して「デジタルユーロ」発行に向けた法整備の取り組みを加速するよう訴えた。3月6日、フランクフルトで撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch)
[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は23日、欧州連合(EU)欧州議会に対して「デジタルユーロ」発行に向けた法整備の取り組みを加速するよう訴えた。
デジタルユーロはECBが何年も前から発行を検討している中央銀行デジタル通貨(CBDC)。実際の発行には欧州議会による法律の可決が必要だが、今のところ成立の目処が立っていない。
EU欧州委員会は2023年6月にデジタルユーロの法制化を提案した。ECBとしては、欧州議会による法整備が終われば、秋にもデジタルユーロ発行に関する採決を行いたい意向だ。
ただ欧州議会では、8会派のうち4会派が今年起きたECBの決済システム障害を受け、デジタルユーロ導入に疑問を呈している。
また銀行業界からは、顧客資金が預金からECBの保証があるデジタルウォレットに流出する事態への懸念も根強い。
それでもラガルド氏は欧州議会の委員会で、デジタルユーロは欧州の金融面での自立性を確保し、民間発行のステーブルコインなどに対抗していく上で重要な存在だと強調。「デジタルユーロ導入に道を開く法的枠組みを迅速に整備すべきで、どうか協力してほしい」と改めて要請した。