NY外為市場=ドル上昇、中東緊迫化で安全買い

ニューヨーク外為市場では、中東情勢が一段と緊迫化する中、ドルが主要通貨に対して上昇した。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[ニューヨーク 17日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、中東情勢が一段と緊迫化する中、ドルが主要通貨に対して上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が18日までの2日間の日程で開いている連邦公開市場委員会(FOMC)も注目されている。
イスラエルとイランの軍事衝突が5日目に入る中、米軍が中東地域での戦力を増強するために同地域により多くの戦闘機を配備し、他の軍用機の配備期間を延長していることが当局者の話で分かった。こうした中、トランプ米大統領はイランに対し「無条件降伏」を呼びかけ、米国の忍耐は限界に近づいていると警告。同時に、イランの最高指導者ハメネイ師を殺害する差し迫った意図は「今のところ」ないと述べた。
中東情勢が一段と緊迫化する中、原油先物は4%超上昇。フォレックスライブのチーフ外為アナリスト、アダム・バトン氏は「米国がイラン(攻撃)に関与し、その目的はもはやイランの核施設の破壊ではなく、政権転覆であることを市場は察知している」と指摘。「コストがかかる複雑な戦争になる可能性がある。戦争に対する条件反射的な反応は常に米ドル買いで、きょうはそうした方向に向けた強い動きが見られた」と述べた。
この日発表の米経済指標では、5月の小売売上高(季節調整済み)が前月比0.9%減少。1月以来4カ月ぶりの大幅な減少となった。
ドルは発表直後にやや軟化したものの、他の経済指標が強弱混交となったことで、すぐに回復。メシロー・カレンシー・マネジメントの上級投資ストラテジスト、ウト・シノハラ氏は、米国の不明確な貿易政策が不確実性につながっていることを背景に、ドルはこのところ安全資産として従来の役割をあまり果たしていなかったと指摘。ただ「中東情勢の緊迫化を受けドルは新たな支持を見つけた。イスラエルとイランの軍事衝突が始まった13日に明らかになり、緊張が高まったきょうも再び見られた」と述べた。
FRBは今回のFOMCで金利据え置きを決定するとの見方が大勢。市場の注目はFOMCメンバーの金利見通し、「ドットチャート」に集まっている。コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「利下げ再開を待つことのリスクは現時点ではほとんどないため、今回のFOMCではタカ派的なメッセージが発せられると予想している」と述べた。
終盤の取引でドル/円は0.4%高の145.32円。ユーロ/ドルは0.68%安の1.1481ドル。
主要6通貨に対するドル指数は0.64%高の98.8。
ドル/円 NY午後4時 145.21/145.22
始値 144.69
高値 145.37
安値 144.49
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1484/1.1486
始値 1.1568
高値 1.1577
安値 1.1475