米エリオット、住友不の役員選任に反対も 株主還元などの強化要求
Miho Uranaka
[東京 9日 ロイター] - 物言う株主の米エリオット・インベストメント・マネジメントは8日、住友不動産に求めている株主還元の引き上げやガバナンス強化などで「実質的な改善が見られない場合」、27日開催の株主総会で役員選任議案に反対すると表明した。
エリオットは住友不動産の議決権を合計で3%以上を保有する大株主となっている。
エリオットは同社株主に宛てた書簡を公表。エリオットがこれまで日本での活動において公開書簡を発出するのは初めて。関係者によると、住友不動産はこれまでの対話を通じて一定の前向きな対応を示しているものの、その取り組みの意欲やスピードは依然として十分とは言えず、エリオットはこうした課題を他の株主とも共有し、株主総会での意思表示を促す意図があるという。
住友不動産の配当性向が同業他社の半分程度にとどまる一方で、政策保有株が資産に占める割合が業界内で最も高いと指摘。株主資本利益率(ROE)の目標を定めていないことやガバナンスの不備も問題視している。
同社経営陣が過去数カ月で正しい方向に進み始めたことは「歓迎」するとしながらも、3月末に公表した中期経営計画は「根本的な課題に対する対応を欠き、市場の反応も否定的だった」との見方を示し、追加的な施策を講じるよう求めた。
関係者によると、エリオットは、今後も建設的な関係の維持を望んでいるが、将来的には株主提案を選択肢の一つとして検討する可能性もあるという。3%以上の株式を6カ月以上保有すれば臨時株主総会の招集が可能となるため、戦略的な選択肢は複数あるとみられる。