豊田織を非公開化、トヨタグループがTOB 総額約4.7兆円

6月3日、トヨタ自動車の源流企業である豊田自動織機は、トヨタグループによる買収提案を受け入れ、株式を非公開化すると発表した。写真はトヨタのロゴ。2024年2月、ニューデリーで撮影(2025年 ロイター/Anushree Fadnavis)
トヨタ自動車<7203.T>の源流企業である豊田自動織機<6201.T>は3日、トヨタグループによる買収提案を受け入れ、株式を非公開化すると発表した。豊田織は同時にトヨタ自やデンソー<6902.T>などグループ各社との株式持ち合いを解消する。資本関係を維持しながら結束してきたトヨタグループは新たな体制に移行する。
トヨタ不動産とトヨタ自の豊田章男会長が新設する持ち株会社が、傘下の公開買付者を通じて約3兆6899億円で豊田織株75.34%を買い付ける。買付価格は1株1万6300円で、12月上旬のTOB開始を目指す。
トヨタ自はTOBに応募せず、非公開化後に保有する全株24.66%を豊田織に売却する。売却価格は1株1万3416円で、取得総額は9941億円。TOBと合わせると株式買付総額は約4兆7000億円となる。
トヨタ不は豊田氏が会長を務める非上場会社で、豊田織のほか、デンソーなどグループ各社の株式を持つ。
持ち株会社には、トヨタ自が議決権を持たない優先株で7060億円、トヨタ不が普通株で1765億円、豊田会長個人が10億円それぞれ出資し、出資比率はトヨタ不が99.5%、豊田会長が0.5%となる。公開買付者には、三井住友銀行など大手3行が買収資金の一部として約2兆8000億円を融資する。
トヨタ不の近健太取締役は、豊田会長の持ち株会社への出資について、経営や実務全般に関与することは「想定していない」とし、取締役就任の予定もないと説明、「資本家としてより長期に幅広いリターンを求めている」と述べた。
豊田織の取締役会はTOBへの賛同は表明したが、応募するかどうかは株主の判断に委ねた。豊田織の株価は3日、前営業日比0.77%高の1万8400円で引けており、TOB価格はこれより11%安い。同社の株価は、買収案が一部で報じられたため、一定の上乗せ幅(プレミアム)を付けたTOBへの期待が高まり、高値圏で推移していた。近氏は、TOB価格について、報道前の終値や報道前1カ月間の終値単純平均と比べると約23%、約30%程度のプレミアムがついていると説明した。
豊田織株を4.93%保有するデンソー、2.19%を持つアイシン<7259.T>、5.09%の豊田通商<8015.T>はTOBにそれぞれ全株応募する。豊田織は3社から自社株を取得し、株式の持ち合いを解消する。