日鉄のUSスチール買収、「黄金株」が米政府の合意条件=米上院議員

日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、USスチールの「黄金株」を米政府に付与することが合意条件に含まれていることが分かった。写真は5月26日、千葉県君津市で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Kaori Kaneko Kantaro Komiya Alexandra Alper
[ワシントン/東京 27日 ロイター] - 日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、USスチールの「黄金株」を米政府に付与することが合意条件に含まれていることが分かった。重要な決定に対して米政府が拒否権を持つことになる。トランプ米大統領と先週面談した米上院議員が米CNBCの番組で明らかにした。
米政府はUSスチールの黄金株を持つことで、生産の削減など重要事項の決定に対して拒否権を発動できる。USスチールが本社を構えるペンシルバニア州選出のデイブ・マコーミック上院議員によると、合意条件にはUSスチールのトップが米国人であること、取締役会の過半数を米国人が占めることが含まれる。
マコーミック議員はCNBCのインタビューで「米国人最高経営責任者(CEO)、米国人が過半数を占める取締役会、そして黄金株が設けられる。基本的に、複数の取締役会メンバーについて米政府の承認が必要となり、それによって米国の生産レベルが削減されないことなどを確保できるようになる」と述べた。
マコーミック議員が、対米外国投資委員会(CFIUS)に対して両社が行った事前の誓約を超える新たな取引内容を発表したのかどうかは現時点では不明。
ホワイトハウスのデサイ報道官は、日鉄によるUSスチール買収に関する質問に対し、「トランプ大統領は30日に(USスチールの本社がある)ピッツバーグに戻り、米国の鉄鋼と雇用について祝うことを楽しみにしている」と述べるにとどめた。
日鉄はコメントを控え、USスチールからはコメントを得られていない。
日鉄は、2024年9月にCFIUSに提出したNSAタームシートで、USスチールの取締役の過半数を米国人とし、そのうち「独立米国取締役」と呼ばれる3人はCFIUSの承認を得ることとしている。また、独立米国取締役の過半数によって承認された場合に限り、生産能力を削減できるとも記載されている。
これとは別に、日鉄のUSスチール買収価格が1株55ドルのまま変更ないことが分かった。事情を知る関係者3人が明らかにした。
この取引が間もなく完了するとの期待感から、27日の米株式市場でUSスチールの株価は一時2%高の53ドルとなり、買収提案発表以来の最高値を記録した。